会社設立時において、発起人が財産引受で取得した自動車を現物出資として使用できるかどうかについて、会社法の観点から解説します。
現物出資とは?
現物出資とは、会社設立時に現金ではなく、土地、建物、車両、特許権などの財産を出資することを指します。会社法では、発起人や株主が会社設立時に金銭以外の資産を出資することが認められています。
自動車は現物出資できるのか?
自動車も、会社の事業運営に必要な財産であれば、現物出資として認められます。ただし、一定の手続きと条件を満たす必要があります。
現物出資に必要な手続き
会社設立時に1000万円の自動車を現物出資する場合、以下の手続きが必要になります。
- 財産引受との違いの確認:財産引受とは、会社設立後に特定の財産を取得する契約のことを指します。現物出資とは異なり、財産引受には定款に記載する義務があり、設立後の財産取得行為として規制されることがあります。
- 定款への記載:現物出資を行う場合、会社の定款に出資する財産の内容、評価額、出資者の氏名を明記しなければなりません。
- 検査役の調査:会社法207条に基づき、500万円以上の現物出資をする場合は裁判所が選任する検査役による調査が必要となります。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、検査役の調査は不要です。
- 市場価格があり、合理的な方法で評価できる資産(例えば上場株式)
- 弁護士、公認会計士、税理士などの専門家が作成した評価証明書がある場合
- 財産の引渡しと名義変更:自動車の現物出資を行う場合、会社名義への変更が必要となります。
現物出資のメリット・デメリット
メリット:
- 設立時に現金を用意する必要がなく、保有資産を有効活用できる
- 会社設立後、業務用の車両として活用できる
デメリット:
- 法定の手続きが必要であり、時間や費用がかかる
- 評価額の算定が適正でないと、税務上の問題が発生する可能性がある
まとめ
1000万円の自動車を現物出資することは可能ですが、会社設立時の手続きとして定款の記載や検査役の調査が必要となる場合があります。また、財産引受との違いにも注意が必要です。現物出資を検討する際は、専門家(司法書士・税理士)に相談し、適切な手続きを行いましょう。