相続放棄は、相続財産に借金や管理が難しい土地が含まれている場合に有効な手続きですが、司法書士に依頼する際の費用が土地の数や種類によって変わるのか気になるところです。本記事では、相続放棄の費用がどのように決まるのかを解説します。
相続放棄の基本的な手続き
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切引き継がず、負債も含めて全ての相続権を放棄する手続きです。放棄の申請は家庭裁判所に行い、受理されることで相続人の立場を完全に失います。
① 相続放棄の手続きの流れ
- 家庭裁判所に相続放棄の申述をする
- 裁判所の審査を受ける
- 相続放棄の受理通知を受け取る
これらの手続きは個人でも行えますが、司法書士や弁護士に依頼するとスムーズに進むことが多いです。
司法書士に依頼する場合の費用は?
司法書士に相続放棄を依頼する際の費用は、基本的に相続放棄の手続き自体の難易度や件数によって変わりますが、土地の数や種類が直接影響することは少ないです。
① 司法書士の報酬の目安
一般的な司法書士事務所での相続放棄の依頼費用は、以下のようになっています。
- 1名分の相続放棄手続き:30,000円〜80,000円
- 2名以上の同時依頼:1人あたり20,000円〜50,000円
- 特殊な事情がある場合(借金の督促がある、不動産が絡むなど):追加費用 10,000円〜50,000円
② 土地の数や広さによって費用は変わるのか?
原則として、相続放棄は相続財産全体に対して行う手続きであり、特定の土地や財産のみを放棄することはできません。そのため、相続放棄をする土地の数や広さが司法書士の費用に直接影響することはほとんどありません。
ただし、以下のようなケースでは費用が増加する可能性があります。
- 不動産の所有状況が複雑で、追加調査が必要な場合
- 放棄する財産について、関係者への通知や手続きが多くなる場合
- 土地の管理責任について事前に相談する必要がある場合
土地が絡む場合に注意すべきポイント
相続放棄をしても、すぐに相続財産の管理責任がなくなるわけではありません。特に土地が含まれる場合、次の点に注意が必要です。
① 相続放棄後の土地の管理責任
相続放棄をしても、次の相続人が手続きを完了するまで、一時的に管理責任を負う可能性があります。例えば、放棄後に土地の管理を放置して近隣住民に損害を与えた場合、責任を問われるケースもあるため注意が必要です。
② 放棄後の財産管理人の選定
相続放棄をした場合、家庭裁判所に申請して「相続財産管理人」を選定することができます。この管理人が土地を適切に処分することで、相続放棄をした人が責任を問われるリスクを軽減できます。
まとめ
相続放棄を司法書士に依頼する際の費用は、基本的に手続きの難易度や相続人の数によって決まり、土地の数や広さ自体が直接的な費用の増減に影響することはほとんどありません。しかし、土地の管理責任や手続きの複雑さによって追加費用が発生する可能性があるため、事前に司法書士に相談することをおすすめします。
特に、不動産を含む相続放棄は後の管理責任が発生する可能性があるため、相続財産管理人の選定なども検討すると良いでしょう。