勤務中のバイク事故により顔に傷が残ったり、味覚障害・しびれなどの後遺症が発生した場合、労災保険で請求できる補償がいくつか存在します。休業補償を受け取った後でも、後遺症に関する請求が可能な場合があります。本記事では、どのような補償が請求できるのかを詳しく解説します。
1. 労災保険で請求できる補償
労災保険には、後遺障害が残った場合に請求できる補償が存在します。
① 障害(補償)給付
労災事故によって体に障害が残った場合、「障害(補償)給付」を請求できます。これは、障害の程度に応じて支給されるもので、1級から14級までの等級に分けられています。
顔の傷やしびれ、味覚障害などが該当するかどうかは、障害等級表に基づいて判断されます。例えば、「容貌に著しい醜状を残すもの」(例えば顔の目立つ部分に大きな傷が残る場合)は等級の対象になる可能性があります。
② 特別支給金
障害等級が認められた場合、「特別支給金」という一時金または年金が支給されることがあります。金額は等級によって異なります。
③ 傷病補償年金
治療が終わった後も、継続して症状が続き仕事に支障がある場合、「傷病補償年金」を受け取れる可能性があります。ただし、これには一定の基準が設けられています。
2. 労災以外で請求できる補償
労災保険以外にも、請求できる可能性がある補償制度があります。
① 会社に対する損害賠償請求
会社が安全対策を怠っていた場合、「使用者責任」として会社に対して損害賠償を請求できることがあります。例えば、適切な安全対策がなかった、もしくは適切な指導が行われていなかった場合は、会社に賠償を求めることが可能です。
② 加害者がいる場合の民事賠償
もし事故が勤務中の過失ではなく、第三者(他の運転手など)の過失で発生した場合、その相手に「民事賠償請求」をすることができます。
③ 自分の保険を利用する
もし自身が加入している傷害保険や医療保険がある場合、後遺障害や通院費などの補償を受けられる可能性があります。自分の保険内容を確認し、対象となるかを調べるのがよいでしょう。
3. 労災申請の手順
労災の補償を受けるには、以下の手順で手続きを進めます。
① 労働基準監督署に申請
勤務中の事故であることを証明するため、労働基準監督署に申請を行います。会社を通じて申請するのが一般的ですが、直接申請することも可能です。
② 必要書類の提出
障害(補償)給付を請求する場合、「障害補償給付請求書」に加えて、医師の診断書を提出する必要があります。
③ 審査と認定
提出された書類をもとに、労働基準監督署が審査を行い、障害等級を決定します。認定されると給付金が支給されます。
4. まとめ
勤務中の事故で顔の傷や味覚障害・しびれなどの後遺症が残った場合、以下の補償が請求できる可能性があります。
- 労災保険の障害(補償)給付:後遺症が認められた場合に給付が受けられる
- 特別支給金:障害等級に応じて支給
- 会社に対する損害賠償請求:会社に安全管理の不備があれば請求可能
- 加害者に対する民事賠償:事故の相手がいれば賠償請求の対象になる
- 自分の保険の利用:加入している保険で補償が受けられるか確認
後遺症が残っている場合、労災申請を行うことで補償が受けられる可能性があります。まずは労働基準監督署や弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。