暴力事件や交通事故などで被害を受けた場合、加害者が示談を申し入れることがあります。特に、骨折などの傷害事件の場合、示談によって刑事処分がどのように影響を受けるのかが気になる方も多いでしょう。本記事では、示談の仕組みと刑事事件への影響について解説します。
1. 示談とは?
示談とは、当事者間で話し合いを行い、損害賠償や今後の対応について合意することです。一般的には、加害者が被害者に対して慰謝料などを支払い、事件を円満に解決することを目的とします。
2. 示談すると刑事事件はなくなるのか?
示談の成立は刑事事件に一定の影響を与えますが、必ずしも事件がなくなるわけではありません。以下の点を理解しておくことが重要です。
- 不起訴になる可能性:被害者が加害者を許した場合、検察官は起訴を見送る(不起訴処分とする)ことがあります。特に、初犯や過失による事件では示談が大きく影響します。
- 親告罪の場合:親告罪(例:名誉毀損や侮辱罪)の場合、示談が成立し被害届を取り下げると刑事事件になりません。
- 非親告罪の場合:暴行罪・傷害罪などの非親告罪は、示談しても検察官の判断で起訴される可能性があります。
3. 示談のメリットとデメリット
メリット
- 被害者は早期に慰謝料を受け取ることができる。
- 加害者は刑事処分を軽減できる可能性がある。
- 裁判に持ち込まれることなく解決できる。
デメリット
- 示談金の金額交渉が難航することがある。
- 加害者の刑事責任が完全に免除されるわけではない。
- 示談の内容次第で被害者に不利になる場合がある。
4. 示談をする際の注意点
示談を進める際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 弁護士に相談する:示談の金額や条件を適切に決定するため、専門家のアドバイスを受けることが望ましい。
- 示談書を作成する:示談の内容を明確にし、後からトラブルにならないようにする。
- 刑事処分の影響を理解する:示談によって必ずしも不起訴になるわけではないため、加害者の処分がどうなるかを把握する。
5. まとめ
示談は被害者と加害者の合意によって成立しますが、示談が成立しても刑事事件が完全になくなるわけではない点に注意が必要です。特に、傷害事件などの非親告罪では、示談しても検察官の判断で起訴されることがあります。示談を進める際には、弁護士と相談しながら慎重に対応することが重要です。