交通事故によるケガや後遺症により、仕事を休まざるを得なくなった場合、休業損害を請求できる可能性があります。特に、被害者側に過失がない「もらい事故」の場合、適切な補償を受けることが重要です。本記事では、休業損害の認定条件や請求方法について詳しく解説します。
休業損害とは?
休業損害とは、交通事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合に、減少した収入を補填するための補償です。加害者側の保険会社に対して請求し、一定の基準に基づいて支払われます。
休業損害が認められるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 事故によるケガが原因で仕事を休む必要があること
- 医師の診断書などで休業の必要性が証明できること
- 休業によって実際に収入が減少したこと
休業損害の計算方法
休業損害の金額は、基本的に以下の計算式で算出されます。
日額基準 × 休業日数 = 休業損害
日額基準は、給与所得者・自営業者・主婦(主夫)など職業によって異なります。
給与所得者の場合
事故前の収入をもとに、日額を計算します。一般的には以下の方法で算出されます。
- 過去3カ月の給与の平均をもとに日額を算出
- ボーナスの減額があれば、その分も請求可能
自営業者・個人事業主の場合
確定申告書や帳簿をもとに、事故前の平均収入を算出し、日額を決定します。事業の性質上、収入が変動しやすいため、詳細な証明が求められます。
専業主婦(主夫)の場合
家事労働も経済的価値があるとみなされるため、専業主婦(主夫)でも休業損害が認められます。一般的には、賃金センサス(労働統計)をもとに日額が算出されます。
休業損害を請求するために必要な書類
休業損害を請求するためには、以下の書類を用意する必要があります。
- 診断書:医師による診断書が必要です。休業の必要性を証明するために、事故との因果関係が明記されているものが望ましいです。
- 休業証明書:会社が発行するもので、事故による休業期間が明記されている必要があります。
- 給与明細または源泉徴収票:事故前の収入を証明するために必要です。自営業者の場合は確定申告書を提出します。
追加で請求できる可能性がある補償
休業損害以外にも、交通事故の被害者が請求できる補償があります。
① 慰謝料
交通事故による精神的な苦痛に対する補償です。通院日数や治療期間をもとに算定されます。
② 後遺障害等級認定
事故後に症状が残る場合、後遺障害等級が認定されると「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」を請求できます。
③ 治療費・通院交通費
治療にかかった費用や、通院時の交通費(タクシー代など)も請求可能です。
休業損害を認めてもらうためのポイント
休業損害を確実に認めてもらうためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 医師に適切な診断書を作成してもらう:診断書には、事故との因果関係が明記されていることが重要です。
- 会社から休業証明書を発行してもらう:職場に迷惑をかけると考えてしまうかもしれませんが、正式な証明書がないと請求が難しくなります。
- 保険会社の対応を確認する:加害者側の保険会社が適切な対応をしない場合、弁護士に相談するのも有効な方法です。
まとめ
交通事故により仕事を休まざるを得なくなった場合、休業損害を請求できます。特に、事故によるケガが原因で休業が必要と認められれば、給与所得者・自営業者・主婦(主夫)を問わず補償を受けることが可能です。
休業損害を請求する際は、診断書や休業証明書を準備し、加害者側の保険会社に申請しましょう。必要に応じて、慰謝料や後遺障害の請求も視野に入れ、適切な補償を受けるようにしましょう。