不倫が原因で離婚に至った場合、慰謝料請求を行うことが一般的です。しかし、慰謝料の支払いが分割払いとなる場合、支払いが滞った場合にどう対処すべきかを考えることは重要です。特に、相手が支払い能力に欠けている場合、取りっぱぐれがないようにするためにどのような書類を交わすべきか、またその効力についても理解しておくことが大切です。
慰謝料請求における基本的な書類の種類
慰謝料請求を行う際には、通常、最初に示談書を作成することが多いです。示談書には、事実関係、慰謝料の金額、支払い方法(分割払いの場合、その条件など)、守秘義務に関する条項が記載されます。これにより、双方の合意を法的に確認することができます。
しかし、相手が支払いを怠った場合に備え、支払い履行がされない場合の措置についても示談書に記載しておくことが重要です。支払いが履行されない場合に差押えを行う旨を明記することが可能ですが、この条項が有効であるかどうかを慎重に検討する必要があります。
差押え条件を含めた示談書の作成方法
示談書において「支払いが履行されない場合は差押えを行う」といった条項を追加すること自体は可能です。しかし、その条項が法的に有効であるかは、その内容によります。一般的に、差押えを実施するためには、裁判所に対して「強制執行」を申し立てる必要があるため、素人が作成した示談書において、その条項だけで差押えが確実に行えるわけではありません。
例えば、示談書に「差押え」と記載しても、その記載が法的に効力を持つためには、適切な法的手続きを踏む必要があります。具体的には、裁判所の決定を得るための手続きが必要です。そのため、示談書を作成する際は、法的な効力を持たせるために弁護士のアドバイスを受けることを強くお勧めします。
公正証書と示談書の違いと効力
妻との間で公正証書を作成する場合、その証書には強制執行力が備わっています。公正証書に記載された内容は、裁判所の手続きを経ずに強制執行をすることができるため、非常に有効です。これに対して、示談書は原則的に「任意での合意」に過ぎないため、相手が支払わない場合に強制執行を行うためには、裁判所の手続きを経る必要があります。
つまり、示談書だけでは公正証書と同じように簡単に差押えを行うことはできません。強制執行を確実にするためには、公正証書を活用することが有効です。示談書の内容に差押え条項を入れたとしても、実際にそれを執行するためには、別途裁判手続きを踏む必要がある点を理解しておきましょう。
弁護士を介した示談書作成の重要性
示談書の作成にあたっては、弁護士に依頼することをお勧めします。弁護士は法的に適切な文言を使用し、双方が納得できる形で示談書を作成します。また、弁護士が関与することで、示談書が強制執行可能な内容になるため、支払い履行がされなかった場合でも、法的手続きを進める際に有利に働くことがあります。
また、弁護士に依頼することで、相手方との交渉がスムーズに進む可能性が高まり、あなたの権利をより確実に守ることができます。特に慰謝料の分割払いを取り決める際には、将来的にトラブルが生じないように慎重に契約内容を設定することが重要です。
まとめ:慰謝料請求と差押えを確実にする方法
不倫による慰謝料請求の際、相手に支払いが履行されないリスクに備えることは非常に重要です。示談書に差押え条項を加えることは可能ですが、実際に差押えを行うためには、適切な法的手続きを踏む必要があります。公正証書と示談書の違いを理解し、適切な方法で慰謝料請求を行うことが大切です。
慰謝料請求を行う際には、弁護士のアドバイスを受けながら進めることで、後々のトラブルを避け、確実に支払いを受けるための有力な手段となります。適切な書類を整え、法的手続きを慎重に進めることが重要です。