交通事故の慰謝料はどう決まる?通院期間・転勤による通院中断の影響と保険会社への伝え方

交通事故で怪我を負った際、通院した日数や期間に応じて慰謝料が支払われます。しかし、転勤などのやむを得ない事情で通院を中断せざるを得なかった場合、その影響が慰謝料にどのように反映されるのか、気になる方も多いでしょう。この記事では、通院日数・期間に応じた慰謝料の目安と、転勤などの事情が考慮される可能性、保険会社への伝え方について詳しく解説します。

交通事故の慰謝料はどうやって計算される?

慰謝料には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判)基準」の3つがあります。最も一般的なのは自賠責基準で、これは最低限の補償を提供するものです。

自賠責基準では、1日あたり4,300円が支払われ、以下のいずれか少ない方が適用されます。

  • 通院日数×2
  • 通院期間(日数)

たとえば、通院期間が113日、通院日数が56日であれば、56日×2=112日と113日のうち少ない112日分が対象となり、4,300円×112日=約48万1,600円が目安となります。

転勤などで通院を中断した場合、慰謝料に影響するのか?

原則として、通院を中断すればその期間分は慰謝料に含まれません。しかし、やむを得ない事情(転勤・引越し・家庭の事情など)で通院できなくなった場合、保険会社にその理由を伝えることで一定の考慮がなされることもあります。

たとえば、通院継続の意思があったが転勤で通えなくなったこと、近隣に適切な医療機関が見つからなかったことを丁寧に説明することで、保険会社側が交渉に応じる可能性があります。

慰謝料の上乗せや増額はできるのか?

転勤や生活の変化によって受けた精神的・身体的な負担が大きい場合、交渉次第で慰謝料の増額が認められる可能性もあります。とくに弁護士を通じて交渉する「弁護士基準」での請求では、自賠責より高い水準での慰謝料が見込めます。

通院の打ち切りが被害者都合ではなく、やむを得ない事情であることが医学的・社会的に明らかであれば、示談交渉での主張材料になります。

保険会社には何をどう伝えるべき?

保険会社への説明は、「主観的な事情」ではなく「客観的な理由」として伝えることが大切です。以下のような構成で伝えるとスムーズです。

「このたび転勤により居住地が変わり、これまでの病院に通うことが困難となりました。新しい職場の勤務体制と地域の医療状況から、治療の継続が難しく、やむを得ず通院を中断することとなりました。」

可能であれば、勤務先の転勤命令書や診断書のコピー、近隣に適切な医療機関が見つからない旨の記録なども併せて提示すると説得力が増します。

実際の事例:通院中断後も慰謝料が増額されたケース

ある事例では、交通事故によって頚椎捻挫(むちうち)を負い、通院期間が90日・通院日数が40日という状況で、地方への転勤が決まり治療を断念。保険会社に転勤命令書と医師の意見書を提出し、示談交渉の末、裁判基準に近い金額で慰謝料が支払われたというケースがあります。

このように、「治療継続の意思があった」という証明と、やむを得ない事情が認められれば、通院中断によるマイナス評価を回避できることもあるのです。

まとめ:通院中断でも事情を正確に伝えることが慰謝料に影響

交通事故の慰謝料は通院の実績をもとに算出されますが、転勤などの理由で治療が続けられない場合でも、事情をしっかり伝えることで減額を避けたり、交渉次第で上乗せされる可能性もあります。

保険会社には正直かつ具体的に状況を説明し、できる限り証拠をそろえて交渉に臨むことが重要です。不安な場合は交通事故に詳しい弁護士に相談するのも一つの手段です。

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