会社法における発起設立のプロセスでは、発行可能株式総数について定款で定める必要があります。しかし、発起人が株式会社成立前にその総数を変更することが可能かどうかについては、少し複雑な部分もあります。この記事では、会社法第37条第2項と第30条第2項に基づく、定款変更の方法について詳しく解説します。
発起設立における発行可能株式総数の定め
発起設立とは、設立時に必要なすべての手続きを発起人が行い、法人を設立する方法です。株式会社を設立する際には、定款に発行可能株式総数を定め、その総数の範囲内で株式を発行する必要があります。発行可能株式総数は、株式の発行上限を定めるものであり、これを超えて発行することはできません。
この発行可能株式総数は、定款の内容として発起人によって定められ、設立登記の際に提出されます。設立後、この数は変更することもできますが、その手続きには一定の制限があります。
発行可能株式総数の変更に関する会社法第37条第2項
会社法第37条第2項では、発行可能株式総数に関する定款変更について言及しています。この条文によれば、発起人が株式会社の設立時に定めた発行可能株式総数を設立後に変更することは可能であり、その変更には全発起人の同意が必要とされています。
また、発行可能株式総数を変更する場合、定款の変更にあたるため、一定の手続きが求められます。発起人全員の同意を得たうえで、株主総会や取締役会などの所定の手続きを踏んで定款変更を行うことになります。
定款認証と例外規定(会社法第30条第2項)
一方、会社法第30条第2項には、定款認証に関する例外規定が示されています。通常、定款は公証人によって認証される必要がありますが、設立時に発起人の全員の同意があれば、発行可能株式総数の変更に関する定款の修正も行うことができるという内容です。
この例外規定により、設立時の手続きにおいて変更が行われる場合、必ずしも公証人の再認証を必要としない場合があります。ただし、発行可能株式総数の変更に関する決定は慎重に行うべきであり、適切な手続きが求められます。
発行可能株式総数変更の手続きと注意点
発行可能株式総数を変更するための手続きは、基本的には株主総会での決議が必要です。発起人が株式会社を設立した後、発行可能株式総数を変更したい場合、株主総会を開催し、そこで変更案を提出し、過半数以上の賛成を得る必要があります。
また、発行可能株式総数の変更は、株式の発行上限を変更するため、企業の資本構成に大きな影響を与える可能性があります。したがって、この変更に関する決定は慎重に行い、変更後の株式発行計画を明確にしておくことが重要です。
まとめ
会社法第37条第2項と第30条第2項に基づき、発起人は株式会社の設立後に発行可能株式総数を変更することができます。ただし、この変更には発起人全員の同意が必要であり、適切な手続きを踏む必要があります。変更後の発行可能株式総数に関する決定は、企業の経営に影響を及ぼすため、十分に検討したうえで行うべきです。