近年、SNSを利用した詐欺行為やその未遂事例が急増しており、特にX(旧Twitter)上での金銭トラブル・虚偽情報を用いた詐取行為に関する相談が後を絶ちません。本記事では、SNS上の詐欺未遂に対して警察がどう対応してくれるのか、被害届や告訴状の提出手順、実際に動いてもらうためのポイントを整理してご紹介します。
詐欺未遂とは?成立する要件を理解する
詐欺未遂とは、「人をだまして財物を交付させようとしたが、結果的に被害が発生しなかった場合」を指します。つまり、相手にお金を渡していなくても、「だまそうとした行為」が明確であれば、未遂として処罰対象になります(刑法250条)。
たとえばX上で「返金するから一旦振り込んで」などと持ちかけ、証拠としてやりとりが残っていれば、未遂でも犯罪構成要件に該当する可能性があるのです。
警察は詐欺未遂で動いてくれるのか?
結論から言うと、証拠が明確であれば警察が捜査に着手するケースはあります。ただし、以下のような条件を満たしていることが望ましいです。
- やり取りのスクリーンショット(DMや投稿)
- 詐取目的が明確に読み取れる文言
- 被害者の身元が確認できる情報(氏名・住所など)
- 加害者の情報(アカウント・口座・連絡手段など)
つまり、単なる嫌がらせや曖昧なやりとりでは難しく、「誰が・どのような意図で・何をしようとしたか」が客観的に示せる資料が求められます。
被害届と告訴状の違いと提出の流れ
被害届は「私はこのような被害に遭いました」と警察に伝える申告です。一方、告訴状は「この人物を処罰してほしい」と加害者の処罰を求める法的手段です。
未遂の場合、被害届だけでは捜査が動きにくい傾向があるため、可能であれば告訴状の提出が望ましいです。提出の流れは以下の通りです。
- 最寄りの警察署へ相談(生活安全課など)
- 証拠資料を提示し、被害届または告訴状提出の意思を伝える
- 状況によって受理、または書き直しの指示を受ける
- 正式に受理されれば、警察が捜査を開始
特に「悪質な詐欺目的」「複数人の被害」などが疑われる場合は、警察も積極的に動く可能性が高まります。
実際の相談時に気をつけたいこと
警察に相談する際は、感情的ではなく冷静かつ事実に基づいた説明を心がけましょう。以下のポイントを押さえるとスムーズです。
- 時系列に沿った経緯メモ
- やり取りの日時、内容の記録(スクショ・PDFなど)
- 相手のアカウント情報(ハンドル名、ID、リンク)
また、「証拠が消される可能性がある」ことを理由に相談を急ぐことも、受理に向けた説得材料になります。
弁護士への相談も有効な選択肢
警察が慎重な態度を示す場合や、自力での告訴状作成に不安がある場合は、弁護士ドットコムなどを活用して、刑事・ネットトラブルに詳しい弁護士に相談するのが有効です。
告訴状は書式に不備があると受理されにくいため、専門家の助言を受けながら準備するのが理想です。
まとめ:SNS上の詐欺未遂でも動いてもらえる可能性はある
X(旧Twitter)などSNS上での詐欺未遂行為も、証拠と被害の意図が明確なら、警察に受理・捜査されることがあります。
被害届よりも告訴状のほうが法的な効力が強く、警察の動きも促しやすいため、可能であれば専門家と連携して準備を進めることが重要です。被害に遭ったと感じたら、早期の相談と証拠確保が何より大切です。