家族間でお金の貸し借りが発生した場合、たとえ「夫のために借りたお金」であっても、法律的には借用書に署名した人が責任を負うことになります。この記事では、義理の親からの借金や、夫の事業に使われた資金に対する返済義務について、法的な観点と具体的な対応策を解説します。
借用書の名義人が誰かで返済義務は決まる
民法上、借用書に署名した本人が債務者と見なされます。たとえ実際に使ったのが別の人物（夫）であっても、名義が妻であれば、法的には妻が返済の責任を負うことになります。
したがって、「夫のために親が貸してくれたお金」であっても、書類上あなたが債務者になっている場合は、返済義務はあなたにあるというのが原則です。
夫に返済を求めることは可能か？
ただし、実際にお金を使ったのが夫であり、親もそれを了承して貸していたのであれば、夫との間に「求償権」が生じる余地があります。
求償権とは、「本来は他人が支払うべき費用を立て替えた人が、その分を請求できる権利」です。あなたが親への返済を行った後、夫に対して立て替えた金額の返還を請求することは可能です。
この場合、夫とあなたとの間で明確な合意や証拠（メールやメモなど）があると有利です。
第三者に運営を任せた場合の法的リスク
今回のケースでは、夫が事業を開始し、その後あなたの兄弟に実質的な運営を引き渡したという点も重要です。あなたの兄弟が会社経営の経験がないまま事業を引き継ぎ、結果として資金不足に陥っているなら、今後さらなる債務リスクも発生する可能性があります。
兄弟が「名義貸し」や「代表者としての法的責任」を問われる立場になることもあるため、できるだけ早く契約関係や資金フローを整理しましょう。
今後取るべき具体的なステップ
- 親との間で正式な返済計画書を作成し、記録を残す
- 夫との間に求償権を確認する書面や覚書を作成する
- 兄弟に関わる部分は、会社登記や役員構成を見直し、法的責任がどこにあるかを明確にする
- 家族間での資金の流れを整理し、弁護士や税理士に相談する
特に大きな金額のやり取りや、事業経営が絡む場合は、第三者（専門家）を介入させることがトラブル回避の鍵になります。
まとめ：家族だからこそ文書と証拠が重要
家族間の金銭トラブルは感情的になりやすく、曖昧な合意のまま進んでしまいがちです。しかし、法的には「名義」と「証拠」によって責任の所在が判断されます。
名義人が返済責任を負うという原則を理解しつつ、実際に資金を使った夫に対して責任を明確にするための書面を用意し、今後の支払い計画を現実的に見直すことが大切です。
必要に応じて、法テラスなどを通じて法的サポートを受けることも検討しましょう。