経済的事情などからAVやゲイビデオに出演したものの、後悔や不安を抱えている方も少なくありません。特に2022年6月に施行された「AV新法(AV出演被害防止・救済法)」により、出演者の保護が強化されています。本記事では、契約の取消や公開中止の可能性、損害賠償に関する誤解、そして取るべき行動を具体的に解説します。
AV新法とは?出演者の保護を目的とした法律
AV新法(正式名称:性的姿態の撮影等に係る出演者の保護等に関する法律)は、出演者が一度サインした契約を後から撤回できる制度を整備した法律です。特に以下の3つの点が出演者にとって重要です。
- ① 契約締結後、撮影まで14日以上空ける必要
- ② 撮影日から公開まで1ヶ月以上空ける必要
- ③ 撮影日から1年以内であれば、理由を問わず契約を解除可能
これらに違反している場合、その契約は法的に無効や取消可能である可能性が高くなります。
「契約書はあるが交付されていない」「当日撮影」は違法の可能性
AV新法では、契約書面を出演者に書面または電子的に交付する義務があります。説明だけで交付がなければ、手続き不備となります。
また、契約当日にそのまま撮影されたというケースは、「14日間の冷却期間」違反となり、違法な契約であると見なされる可能性が高いです。
このような契約は事後的に無効または取消を主張でき、公開を阻止する根拠になります。
撮影から1年以内なら無条件解除が可能
AV新法では、撮影日から1年以内であれば、理由を問わず契約解除を申し出ることができます。これは「無条件解除」と呼ばれる制度で、撮影済みであっても、公開前・公開後問わず、出演者の一方的意思で契約解除が可能です。
重要なのは、その申し出を文書(書面またはメール等)で明確に行うことです。
提出先は、出演契約を結んだ制作会社または仲介事業者になります。コピーを保管しておきましょう。
報酬を受け取っていても契約解除はできる
報酬を受け取ったとしても、AV新法の解除権には影響しません。これは、「自己決定権の尊重」が法律の趣旨だからです。
また、「損害賠償請求」と書かれている契約書であっても、AV新法に基づく解除であれば損害賠償義務は発生しないことが法律上明記されています(第6条など)。
つまり、解除を理由に「損害賠償を請求する」と脅された場合は法的に無効な要求となります。
不安なときはどう動けばいい?具体的ステップ
解除を進めたいと考えている場合、次の手順で動くことが勧められます。
- 契約書と撮影日を確認する(コピーがない場合でも、いつ・どこで撮影されたか記録)
- 契約解除の意思をメールなどで文書通知
- 対応を拒否された場合は専門窓口や弁護士に相談
AV人権倫理機構(IPPA)や、Spring法律事務所など、AV出演トラブルに詳しい弁護士が多数存在します。初回相談無料のケースもあるので、早めに相談を。
まとめ:あなたには「やめる権利」があります
AV新法により、撮影後でも公開前でも、1年以内なら無条件で出演契約を解除できるという法的保護が整っています。
契約当日の撮影、書面不交付、報酬受領、損害賠償条項などの要素があっても、それが解除を妨げる理由にはなりません。自責の念を抱く必要はなく、制度としてあなたの意思を守るための仕組みが用意されています。
一人で抱え込まず、必ず公的窓口や信頼できる専門家へ早めに相談してください。あなたの未来を守るために、法的知識は強力な味方になります。