アートメイクのクーリングオフと返金の可否とは?美容医療契約における注意点と対応策

アートメイクなどの美容医療サービスにおいて、「やっぱり不安になったからキャンセルしたい」と思った際に返金してもらえるのかどうかは、多くの人が気になる問題です。とくにカウンセリング時の強引な勧誘や、説明不足の契約書へのサインなどがあった場合、消費者側にとって不利な状況に陥りやすいのが現実です。本記事では、クーリングオフの適用可否や契約の無効主張のポイント、実際の対処法までを詳しく解説します。

アートメイクはクーリングオフ対象になるのか?

一般的に、アートメイクを含む美容医療サービスは特定商取引法のクーリングオフ制度の対象外です。これは、施術が「医療行為」あるいは「美容医療契約」に該当するため、訪問販売やエステティックサロンのように契約後8日以内の無条件キャンセルが保証される制度ではないからです。

ただし、施術前であり契約時の説明に不備や不透明な点があった場合は、消費者契約法や民法の錯誤・詐欺・強迫による取消しを主張できる可能性があります。

契約時の説明義務違反があった場合の法的主張

美容医療サービスでは、消費者に対して「施術内容・リスク・料金・キャンセルポリシー」などについて丁寧な説明を行うことが、事業者に課された義務です。

今回のように「キャンセルや返金に関する説明が一切なかった」「一部の内容だけ読ませた」「断りづらい空気で契約させられた」といった状況であれば、同意書の有効性自体に疑義が生じる可能性があります。

このような場合、消費者センターや弁護士に相談のうえで「契約の取消し」を主張し、返金請求するという対応が考えられます。

「他の施術に充当」という対応は合法なのか?

事業者が「返金は不可で、別の施術に充当するしかない」と主張するのは、業界ではよくある対応ですが、これは一方的な特約であり、消費者の自由な意思に反するものであれば無効とされる余地があります

実際に、過去の裁判例でも「消費者が施術内容に重大な不安を感じて契約を解除したのに、返金を一切認めないのは不当」と判断されたケースも存在します。中途解約で一定額の返金が認められた判例もあります。

具体的な対応ステップ:返金交渉の方法

1. まずは書面またはメールでキャンセルと返金の意思を明確に伝える
感情的にならず、施術前であること、説明不足だったこと、不安があることを丁寧に伝えます。

2. それでも返金拒否される場合は、最寄りの消費生活センターに相談
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3. 必要であれば、法律相談(法テラスなど)を利用して、内容証明郵便で通知するのも有効です。法的な主張をすることで、事業者側の態度が変わる場合もあります。

実例:返金に成功したケースと失敗したケース

実例1:東京都内の美容クリニックで施術前にキャンセルを申し出た30代女性は、「説明が不十分だった」として消費者センターを通じて交渉。結果的に手数料1,000円を差し引いた上で全額返金が実現しました。

実例2:別のケースでは、クレジットカード分割で支払ったものの、初回施術直前に不安になってキャンセル。医院側は「契約済みなので一切返金不可」と拒否したが、カード会社に相談し、チャージバック(支払停止の抗弁)制度を活用し返金に成功しました。

まとめ:施術前なら返金可能性あり、泣き寝入りせず相談を

アートメイクの契約は、施術前であれば内容や手続きに不備があった場合、消費者保護の観点から返金を主張できる可能性が十分あります。クーリングオフは直接適用されなくても、契約内容や勧誘方法に違法性があれば、無効・取消しが認められることも。

返金をあきらめず、消費者センターや弁護士と連携しながら、冷静に対応を進めましょう。

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