お店で商品を購入した際、「無料ラッピング」を利用することは多くの人にとって気軽なサービスのひとつです。しかし、これを毎回「自分用」にお願いしていた場合、法律的に問題があるのか、あるいはマナー違反なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。本記事では、ラッピングサービスと営業妨害の関係を法律と実務の観点から解説します。
無料ラッピングはあくまで店舗の任意サービス
まず大前提として、「無料ラッピング」は法律で義務づけられているものではなく、お店が顧客サービスとして自発的に提供しているものです。したがって、ラッピングの可否や内容、回数などは店舗の裁量に委ねられます。
たとえば、店舗が「ギフト用に限る」と条件をつけている場合に「自分用」に依頼する行為は、規約に反する可能性があります。もっとも、それだけで違法になることはほとんどありません。
「営業妨害」となるケースとは?
営業妨害とは、刑法第233条にある「偽計業務妨害罪」や第234条の「威力業務妨害罪」などを指します。これらに該当するには、故意に業務を妨げる意図が必要であり、単なる過剰な依頼だけでは該当しません。
たとえば、店舗に嫌がらせ目的で大量注文し、すべてにラッピングを要求するようなケースでは、偽計に基づく業務妨害と見なされる可能性があります。一方、常連客として節度を守って依頼している分には法的問題はほとんどありません。
実例:過剰サービス要求がトラブルになったケース
ある大手雑貨チェーンでは、無料ラッピングを毎回複数回求める顧客に対して、明確に「ギフト目的以外はお断り」の方針を掲げ、ラッピング対応を制限するようになった例があります。
このように、店舗側も対応に限界があることから、ラッピングの目的や頻度に応じてルールを設けているケースも増えています。
マナーとしての配慮も重要
法的には問題がないとしても、店員の業務量や混雑時の対応など、マナーの観点では注意が必要です。特に繁忙期や閉店間際に、何度もラッピングを依頼する行為は、他の顧客にも影響を与えかねません。
一方で、好意的に対応してくれる店舗もあるため、「いつもありがとうございます」「手間を取らせてすみません」といった一言を添えるだけで印象は大きく変わります。
まとめ:ラッピング依頼は法的には問題なし、ただし節度を持って
無料ラッピングを毎回「自分用」に依頼する行為が直ちに営業妨害になることは基本的にありません。ただし、過度な要求や悪意ある行動があった場合は、店舗からサービス提供を拒否されたり、最悪の場合は業務妨害として問題視される可能性もゼロではありません。
節度とマナーを持ち、店舗との良好な関係を築くことが、サービスを受け続ける上で最も重要なポイントと言えるでしょう。