交通事故に遭った際、専業主婦であっても休業補償や慰謝料を受け取ることができます。家事労働は経済的価値があると認められており、事故によって家事ができなくなった場合、その損害は補償の対象となります。本記事では、専業主婦が受け取れる休業補償と慰謝料の相場や計算方法について解説します。
専業主婦の休業補償とは
休業補償とは、交通事故による怪我のために家事労働ができなくなった期間に対する補償です。専業主婦の場合、実際の収入はありませんが、家事労働には経済的価値があるとされ、休業補償の対象となります。
休業補償の計算には主に以下の3つの基準があります。
- 自賠責基準:1日あたり6,100円
- 任意保険基準:保険会社によって異なるが、自賠責基準と同等か少し高額
- 弁護士基準:賃金センサスに基づき、1日あたり約10,949円(令和5年)
休業補償の計算方法
休業補償は、以下の式で計算されます。
休業補償 = 1日あたりの基礎収入額 × 休業日数
例えば、通院日数が25日であった場合。
- 自賠責基準:6,100円 × 25日 = 152,500円
- 弁護士基準:10,949円 × 25日 = 273,725円
ただし、実際には家事労働が完全にできなかった日数や程度に応じて、休業日数や割合が調整されることがあります。
慰謝料の相場と計算方法
慰謝料は、交通事故による精神的苦痛に対する補償です。通院期間や症状の程度によって金額が異なります。
弁護士基準による慰謝料の相場は以下の通りです。
通院期間 | 慰謝料額(弁護士基準) |
---|---|
1ヶ月 | 28万円 |
2ヶ月 | 52万円 |
3ヶ月 | 73万円 |
4ヶ月 | 90万円 |
5ヶ月 | 105万円 |
6ヶ月 | 116万円 |
例えば、通院期間が3ヶ月(約90日)であった場合、慰謝料は約73万円となります。ただし、実通院日数が少ない場合は、通院期間全体ではなく、実通院日数の3.5倍程度を基準に計算されることがあります。
実例:専業主婦の休業補償と慰謝料の受け取り
実際の事例として、通院日数が70日間の専業主婦が、休業補償として約50万円、慰謝料として約48万円を受け取ったケースがあります。これは、通院日数の約70%程度が家事労働の制限を受けたと認められたためです。
また、別の事例では、通院期間が6ヶ月(約180日)の専業主婦が、休業補償として約105万円を受け取ったケースもあります。
まとめ
専業主婦であっても、交通事故による怪我で家事労働ができなくなった場合、休業補償や慰謝料を受け取ることができます。補償額は、通院日数や症状の程度、計算基準によって異なります。適正な補償を受け取るためには、弁護士に相談し、弁護士基準での計算を検討することをおすすめします。