交通事故に遭い、むち打ちなどの怪我で通院が必要となった場合、仕事を休む際に有給休暇を使うべきか、それとも欠勤とするべきか悩む方も多いでしょう。さらに、自身の保険に弁護士特約が付いている場合、どのように活用すればよいのかも気になるところです。本記事では、交通事故後の休業損害に関する有給休暇と欠勤の選択、そして弁護士特約の活用方法について詳しく解説します。
有給休暇を使っても休業損害は請求できる
交通事故による怪我で有給休暇を取得した場合でも、休業損害の請求は可能です。これは、有給休暇が本来自由に使える財産的価値のある権利であり、それを事故のために使用せざるを得なかったことが損害と認められるためです。したがって、有給休暇を使用した日数分も休業損害として請求できます。
例えば、事故により5日間の有給休暇を取得した場合、その5日分の休業損害を加害者側に請求することができます。これは、労働者が本来自由に使えるはずの有給休暇を事故によって消費せざるを得なかったことが損害と評価されるためです。
欠勤と有給休暇、どちらが得か?
欠勤した場合、給与は支払われませんが、有給休暇は消化されずに残ります。一方、有給休暇を使用すると給与は支払われますが、有給休暇の日数が減少します。どちらが得かは、個々の状況によります。
例えば、将来的に有給休暇を使用する予定がある場合や、有給休暇の日数が限られている場合は、欠勤として休業損害を請求する方が有利かもしれません。逆に、給与の減少を避けたい場合は、有給休暇を使用し、その分の休業損害を請求する方法が適しています。
休業損害の計算方法
休業損害は、以下の計算式で求められます。
休業損害額 = 1日あたりの基礎収入 × 休業日数
基礎収入は、事故前の収入を基に算出されます。計算基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、一般的に「自賠責基準 ≦ 任意保険基準 < 弁護士基準」の順で金額が高くなります。弁護士基準が最も高額になる傾向があります。
弁護士特約の活用方法
自身の保険に弁護士特約が付いている場合、弁護士費用を保険会社が負担してくれるため、実質的に無料で弁護士に依頼することが可能です。弁護士に依頼することで、休業損害や慰謝料の請求を弁護士基準で行うことができ、より高額な賠償を受け取れる可能性があります。
また、保険会社との交渉や書類の作成、証拠の収集なども弁護士が代行してくれるため、精神的な負担も軽減されます。弁護士特約を活用することで、適正な賠償を受け取るための強力なサポートを得ることができます。
休業損害証明書の取得方法
休業損害を請求する際には、勤務先に「休業損害証明書」を作成してもらう必要があります。この証明書には、事故による休業期間や事故前の給与実績などが記載されます。保険会社に提出することで、休業損害の請求が可能となります。
勤務先が証明書の作成に応じない場合でも、弁護士に依頼することで、勤務先に対して作成を促すことができます。弁護士が間に入ることで、スムーズに証明書を取得できるケースもあります。
まとめ
交通事故による休業中に有給休暇を使用した場合でも、休業損害の請求は可能です。欠勤と有給休暇のどちらを選択するかは、個々の状況や将来的な計画によって異なります。また、弁護士特約を活用することで、より有利な条件で賠償を受け取ることができます。適切な手続きを行い、正当な補償を受けるためにも、専門家への相談を検討してみてください。