休職中の欠勤控除と傷病手当金の仕組み|違法性の有無や生活への対応策を解説

うつ病や抑うつ状態などによる休職は、本人とその家族にとって精神的にも経済的にも大きな負担となります。特に給与が支給されない「無給休職期間」においては、欠勤控除や傷病手当金の扱いについて不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、休職にともなう欠勤控除の法的な扱いや、傷病手当金との関係、生活支援の選択肢について詳しく解説します。

欠勤控除とは?休職中に給与が減額される仕組み

「欠勤控除」とは、労働者が労務を提供できなかった日数分について、会社が賃金を支払わない、あるいは減額することをいいます。これは労働基準法第24条にもとづき、「ノーワーク・ノーペイの原則」(働かなければ給与は支払われない)に従った処理で、法的にも正当とされています。

たとえば3月中旬から休職に入った場合、3月は通常勤務した日数分だけ支給され、それ以外の日数は欠勤控除の対象となります。4月は休職状態が続いていれば、丸ごと無給となることもあります。

欠勤控除は違法ではないのか?

欠勤控除は、前述のとおり法的に認められている処理であり、違法ではありません。ただし、就業規則に則った手続きを経ずに一方的に控除した場合や、事前の説明がないまま控除が行われた場合は、労働基準法違反となる可能性があります。

休職届を提出し、会社がこれを受理している場合、会社側が就業規則にもとづき「無給休職」として処理していれば、控除自体は問題ありません。気になる点があれば、会社の人事担当や労働組合に確認するのがよいでしょう。

傷病手当金とは?給与が出ない期間の生活支援

傷病手当金は、健康保険に加入している労働者が、病気やケガで働けなくなった場合に、最長1年6カ月のあいだ支給される制度です。支給金額はおおむね過去12か月の平均月収の約2/3が基準となります。

たとえば、給与が月30万円だった方の場合、傷病手当金は月額約20万円程度支給されることが見込まれます。申請は会社を通じて行う必要がありますが、会社から給与が支給されていない期間であれば受給対象となるため、欠勤控除との併用で生活費の補填が期待できます。

「相殺」とは何か?5月分給与がなくても連絡が来た理由

会社から「5月は給与がないため傷病手当から相殺する」と言われた場合、それは会社が立て替えていた社会保険料や住民税などを傷病手当金から補填するという意味である可能性があります。

具体的には、給与が発生していない月でも、厚生年金・健康保険・住民税などの負担は発生するため、それを従業員の代わりに会社が一時的に負担しており、後日支給される傷病手当金から回収するという形です。この処理も就業規則や同意のもとであれば、違法ではありません。

生活が苦しいときの公的支援や相談先

生活費に困窮している場合は、以下のような公的支援を検討しましょう。

また、弁護士による法律相談や社労士の無料相談も活用することで、自身にとって最も有利な対応策が見えてきます。

まとめ

休職中の欠勤控除は法律上のルールに則った処理であり、基本的には違法ではありません。ただし、会社の対応に不安がある場合は、労基署や社労士など第三者機関への相談をおすすめします。また、生活費に不安がある場合は傷病手当金の活用に加え、公的支援制度を積極的に利用しましょう。何より、今はご本人の体調回復を最優先にしながら、家族が支え合える体制を整えることが大切です。

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