自動車事故における被害者の立証責任とは?保険対応で変わる立証の要否とその違いを解説

自動車事故において損害賠償請求を行う際、「被害者が立証しなければならない場合」と「被害者が立証しなくてもよい場合」が存在します。これは、どの法律や保険制度に基づくかによって変わってきます。この記事では、その違いをわかりやすく解説します。

被害者に立証責任がある場合とは?

一般的に、民事訴訟などの損害賠償請求では、請求する側、すなわち被害者が「加害者に過失があったこと」や「事故による損害が発生したこと」などを立証する必要があります。

例えば、加害者が「信号は青だった」と主張する場合、被害者側は「加害者が赤信号を無視して進入してきた」といった具体的な証拠(ドライブレコーダー映像や目撃証言など)を提出する必要があります。これが「立証責任がある」状態です。

被害者に立証責任がない(軽くなる)場合とは?

一方、自賠法(自動車損害賠償保障法)では、被害者の救済を優先する観点から加害者側(運行供用者)が無過失であることを証明しなければならないとされています。これを「運行供用者責任」と言います。

たとえば、歩行者が横断歩道を渡っているときに車に接触した場合、車側に注意義務違反がなかったことや、事故が不可抗力であったことを加害者が証明できなければ、原則として加害者が賠償責任を負います。このように、被害者が自ら立証しなくても、加害者に責任が認定される制度です。

自賠責保険と任意保険の立証責任の違い

自賠責保険では、法的に加害者側が無過失であることを証明できなければ、保険金が支払われる仕組みです。つまり、被害者が詳細な立証をしなくても、一定の要件を満たせば賠償されることが多いです。

しかし、任意保険の対応や裁判では、過失割合や損害額の争いが発生しやすく、被害者側にも一定の立証責任が課せられる場合があります。たとえば、休業損害を請求する場合、収入の証明や実際の休業日数などを被害者が提出しなければなりません。

具体例で理解する:ケーススタディ

ケース1:被害者に立証責任がある場合
駐車場内での接触事故において、どちらが先に進入したか曖昧な場合、被害者が「相手が後から進入し、不注意で衝突した」ことを立証しなければ、全額の賠償を受けられないことがあります。

ケース2:被害者に立証責任がない(軽い)場合
横断歩道上で歩行者が車に接触された場合、基本的には車側に過失があると推定されるため、被害者が積極的に証拠を提出しなくても、損害の大部分が補償されます。

損害保険試験におけるポイント整理

損保試験では、「自賠法に基づく請求では運行供用者責任により加害者側が立証責任を負う」「民事賠償請求では被害者が立証責任を負う」という基本原則を押さえることが重要です。

また、「保険金請求に必要な立証資料」「過失割合に影響する要素」なども併せて学習しておくと、応用問題への対応力が高まります。

まとめ

車の事故において被害者が立証しなければならないかどうかは、適用される法律や保険の種類によって異なります。自賠法に基づく場合は加害者側に立証責任があり、任意保険や民事賠償請求では被害者側に立証責任が生じることが多いです。これらの違いを理解しておくことで、損害保険試験の対策や実際の事故対応にも役立ちます。

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