LINEの謝罪メッセージは法的証拠になる?お詫び・寄付・請求にまつわるトラブルの考え方

個人間または会社とのやりとりにおいて、LINEなどのメッセージアプリを通じて謝罪や寄付の申し出を行うことは、現代では一般的なコミュニケーションの一つです。しかし、それが後日トラブルに発展した場合、その文面は法的な証拠としてどのように扱われるのでしょうか。本記事では、お詫びの意図で寄付を申し出たにも関わらず、相手からの請求に発展した事例をもとに、法的な観点を解説します。

LINEのメッセージは証拠になるのか?

まず前提として、LINEのメッセージは法律上「証拠」としての効力を持ち得ます。民事訴訟においては、書面に限らず電子的な記録も証拠として提出できます。その内容がやりとりの文脈上合理的に意味を持つものであれば、裁判所がその存在と意図を認定することも可能です。

したがって、「お詫びの気持ちがある」という文言がLINEで記載されていれば、それが裁判で相手側にとって有利な要素になる可能性は否定できません。ただし、それだけで請求が自動的に認められるわけではなく、支払の合意や契約として成立していたかどうかが重要です。

一度断った後の請求は通るのか?

仮に最初に社長が「寄付を受け取れない」と明確に断っていた場合、それは一度「契約が成立しなかった」という事実を示します。日本の民法では、契約は申し込みと承諾が一致して初めて成立します。よって、「断った」時点では法的な拘束力のある義務や請求権は成立していません

ただし、後にLINEなどで「お詫びの気持ちを持っている」と発言したことが、「暗黙の承諾」と取られる可能性もあります。この点が争点となるため、過去のやりとりを一貫して記録しておくことが重要です。

「請求」と「寄付・謝罪の意思表示」の違い

「寄付」や「お詫びの気持ち」はあくまでも自発的な意思表示であり、それが義務的な「支払い義務」や「損害賠償」に直結するとは限りません。請求する側がそれを根拠に金銭を求める場合、相手に法的義務があるかどうかが明確にされなければなりません。

このようなケースでは、たとえLINEに「お詫びとして何かしたい」と書かれていても、それが「支払の確約」や「損害賠償の合意」とまでは解釈されにくいのが一般的です。

トラブル回避のためにできる対策

  • LINEやメールなど、すべてのやりとりは保存しておく。
  • 寄付や金銭のやり取りを行う際は、できれば書面で合意を交わす。
  • 相手の発言が変遷している場合、それぞれの発言を時系列で整理する。
  • 弁護士に相談し、発言の法的な意味を正確に判断してもらう。

まとめ:LINEは証拠になるが、それだけで義務は成立しない

LINEのメッセージは証拠として認められますが、一度断られた寄付の申し出が後から義務に変わるとは限りません。重要なのは、やりとりの文脈と、合意の有無です。トラブルを避けるためにも、感情的なやりとりは避け、必要に応じて専門家の助言を受けることが大切です。

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