自家採取した野菜を多くの人に知ってもらうための手段として、試食会を定期的に開催するのはとても有効な方法です。ただし、不特定多数を対象に食事を提供する場合、一定の条件下では法律上の届け出や許可が必要になることがあります。ここでは、保健所への届け出や食品衛生法に関する基礎的な知識をわかりやすくまとめます。
営利・非営利にかかわらず届け出が必要なケース
たとえ「利益を目的としていない」としても、不特定多数の人に継続的に食事を提供する場合は、食品営業に該当する可能性があるため注意が必要です。特に「若干の費用をいただく」場合、それは対価を得る営業行為とみなされることもあります。
保健所が重視するのは「営利目的かどうか」よりも、「公衆衛生に与えるリスクがあるかどうか」です。例えば月3回、20人規模で継続的に実施するとなると、営業許可の対象と判断される可能性があります。
必要となる可能性のある許可と制度
一般的に必要になるのは「飲食店営業許可」または「喫茶店営業許可」です。許可を得るには以下のような条件を満たす必要があります。
- 食品衛生責任者の設置
- 手洗い場やシンク、冷蔵設備などの設備基準を満たす施設
- 提供するメニューの内容によっては調理免許
自宅や農園での開催を考えている場合は、会場の設備が基準に合致するかどうかが重要になります。
イベント的な扱いで可能な例外もある
地域の催しや一日限りのイベントなど、一時的な開催であれば「臨時営業届出」や「模擬店申請」などで対応可能なケースもあります。市区町村や都道府県によって対応は異なりますので、必ず事前に所轄の保健所に相談するようにしましょう。
相談の際には、開催頻度、規模、会場、提供する食品の種類などを詳細に伝えることで、必要な手続きが明確になります。
実際の相談事例
例えば、地元の農家が野菜の販売促進のために週末に試食会を開き、1人500円程度の参加費を徴収していたケースでは、保健所から「継続的な営業」と判断され、簡易な飲食営業許可が必要とされました。
一方、農作業体験イベントの一部として地元住民に無料でふるまうような形式では、届け出不要とされた例もあります。
まとめ
自家採取野菜の試食会を定期的に開催する場合、保健所への届け出や営業許可が必要になることがあります。利益目的でなくても、継続性や人数、会場の設備によっては食品衛生法の適用対象となるため、まずは最寄りの保健所に相談することをおすすめします。
事前相談は義務ではなくてもトラブル回避の第一歩です。地域のルールに則って、安全で楽しい試食会を企画しましょう。