不要になった家電製品を譲り受けて修理し、中古品として販売するビジネスは副業としても人気があります。ただし、中古販売には法律上のルールが存在し、特に「古物商許可」や「メーカーとの関係性」について疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、中古家電の販売における法的な要件や注意点について詳しく解説します。
中古家電を販売するには古物商許可証が必要
個人や業者から仕入れた中古品を販売する場合、「古物営業法」により古物商許可証の取得が義務づけられています。都道府県の公安委員会(警察署)に申請し、許可を得ることで正式に中古販売が可能となります。
例:知人からダイキンの空気清浄機を譲り受けて修理・清掃し、ネットで販売する場合でも、古物商許可がなければ違法行為となります。
メーカーの許可は原則として不要
中古家電を販売するにあたり、メーカー(例:ダイキン、シャープなど)からの販売許可は原則不要です。中古販売においては「所有権の移転による再販」であり、メーカーの販売網やライセンス契約とは無関係に行える取引です。
ただし、製品のロゴやブランド名を悪用したり、メーカー製品と誤認させるような表現で新品販売するのは商標法や不正競争防止法に抵触する可能性があるため注意が必要です。
自己修理した家電を販売する際の注意点
個人で修理を行った中古家電を販売することは可能ですが、以下の点に留意する必要があります。
- 電気用品安全法(PSEマーク)の対象品目である場合、販売には制限があります。
- 安全性の確認が取れていないまま販売すると、万一の事故時に責任を問われるリスクがあります。
- 修理内容を誤魔化したり隠すことは、消費者契約法や特定商取引法に抵触する可能性があります。
例:中古電子レンジを修理して販売する際、PSEマークが外れていた場合、電気用品安全法違反とされることがあります。
販売方法ごとの規制と実務ポイント
中古家電の販売方法によって、守るべきルールや実務対応が異なります。
販売形態 | 必要な対応 |
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フリマアプリ(継続的販売) | 古物商許可が必要・PSE確認・説明義務 |
店舗販売 | 古物営業法+事業用電気設備基準を満たす |
ネットショップ | 特定商取引法の表示義務・返品対応など |
一度限りの販売であっても営利目的が明確な場合には「業として」と判断され、古物商許可が必要とみなされる可能性が高くなります。
メーカー保証と中古販売の関係
中古品であっても、メーカー保証が残っている商品を販売する場合、保証の譲渡可否はメーカーの規定に依存します。多くのメーカーでは譲渡された場合は保証の対象外となるため、購入者には明確に説明することが重要です。
また、故障時の対応などを考慮して、自身の店舗保証(初期不良対応など)を設けるのも安心材料となります。
まとめ
中古家電を仕入れて修理・販売するには、古物商許可証が必須です。一方、メーカーからの販売許可は基本的に必要ありませんが、商標の扱いや安全性には十分な注意が求められます。PSEマークや修理歴の告知なども含め、適切な知識と準備をもって販売活動を行うことで、トラブルを未然に防ぎ、信頼性の高い中古販売ビジネスを構築することが可能になります。