交通事故による後遺症で「後遺障害等級認定」を申請したにもかかわらず、数か月たっても音沙汰がない――。そのようなケースは珍しくありません。今回は、後遺障害認定までの一般的な期間や申請後の流れ、そして申請後にできる対策について詳しく解説します。
後遺障害等級認定の一般的な流れ
後遺障害等級認定の手続きは、自賠責保険(共済)を通じて行われ、主に以下のステップで進みます。
- 症状固定:医師が「これ以上治療しても改善しない」と判断した時点
- 後遺障害診断書の作成:通院先の医師に記載してもらう
- 必要書類の提出:保険会社経由または被害者請求により提出
- 損害保険料率算出機構の審査:医師の診断と資料をもとに等級を判断
このうち、損害保険料率算出機構の審査には一定の時間がかかるため、すぐに結果が出るわけではありません。
認定結果が出るまでにかかる期間
後遺障害等級認定の審査には、平均で2~3か月ほどかかるといわれています。ただし、提出資料の量や内容、審査の混雑状況によっては4か月以上かかるケースもあります。
特に「頸髄損傷」など重篤な症状に関しては、医学的な裏付けや検査結果の精査が必要なため、審査に時間を要する傾向があります。
連絡がないときに考えられる理由
申請後3か月以上経過しても連絡がない場合、以下のような理由が考えられます。
- 保険会社がまだ損害調査機関に資料を提出していない
- 追加の医療資料や照会が必要になり、審査が保留中
- 等級判断が難しく、専門医の意見を仰いでいる
まずは保険会社に連絡をとり、「書類は損害保険料率算出機構に送られたのか」「審査はどの段階にあるのか」を確認してみましょう。
申請後にできること
認定を早める裏技はありませんが、以下の対処を行うことで進行状況を把握できます。
- 保険会社に進捗状況を問い合わせる
- 弁護士に相談する(特に重度の障害や後遺症がある場合は有効)
- 申請書類の控えを保管しておく(万が一、紛失された場合に備える)
また、進捗が不透明なまま放置されている場合は、被害者請求による手続きに切り替えることも可能です。
後遺障害等級認定がもたらす影響
後遺障害等級の認定を受けることで、自賠責保険から等級に応じた慰謝料や逸失利益の補償が支払われます。たとえば、後遺障害等級12級なら約224万円、1級なら最大で約4000万円を超える補償を受けられることもあります。
このため、認定の有無や等級は、今後の生活設計に大きく関わる重要な要素となります。
まとめ
後遺障害の申請から認定結果までには、平均で2~3か月、場合によってはそれ以上かかることもあります。連絡がないからといって放置せず、定期的に進捗を確認することが大切です。必要であれば弁護士や交通事故専門の相談窓口を活用して、適切な対応を取りましょう。