交通事故の賠償金提示が自賠責基準の120万円を下回る理由とその対応策

交通事故の被害に遭った際、保険会社から提示される賠償金額が自賠責保険の基準である120万円を下回ることがあります。これは一見すると不合理に感じられるかもしれませんが、保険の仕組みや賠償金の算定基準を理解することで、その理由が明らかになります。

自賠責保険と任意保険の違い

自賠責保険は、すべての自動車に加入が義務付けられている強制保険で、人身事故による最低限の補償を目的としています。対して、任意保険は加入が任意であり、自賠責保険でカバーしきれない部分を補う役割を持ちます。

自賠責保険の補償範囲は、治療費や慰謝料、休業損害などを含めて120万円が上限です。これを超える損害については、任意保険が対応することになります。

賠償金の算定基準の種類

賠償金の算定には主に以下の3つの基準があります。

  • 自賠責基準:法律で定められた最低限の補償額。
  • 任意保険基準:各保険会社が独自に設定している基準で、自賠責基準よりやや高め。
  • 弁護士基準(裁判基準):過去の判例などを基に算定され、最も高額になる傾向があります。

保険会社から提示される賠償金額は、通常、任意保険基準に基づいています。したがって、自賠責基準の上限である120万円を下回ることもあります。

過失割合の影響

交通事故では、被害者にも一定の過失があると判断される場合があります。この過失割合に応じて、賠償金が減額されることがあります。例えば、被害者の過失が10%とされた場合、賠償金もその分減額される可能性があります。

ただし、自賠責保険では、被害者の過失が7割未満であれば、過失相殺は行われません。7割以上の過失がある場合でも、減額幅は通常の過失相殺より小さくなっています。

提示額が納得できない場合の対応策

保険会社から提示された賠償金額に納得がいかない場合、以下の対応策があります。

  • 弁護士に相談する:弁護士基準での算定を主張し、賠償金の増額を図ることができます。
  • 示談交渉を行う:保険会社と直接交渉し、納得のいく金額を目指す。
  • 訴訟を起こす:最終手段として、裁判で適正な賠償金を求める。

弁護士に依頼する場合、任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、費用の負担を軽減することが可能です。

まとめ

交通事故の賠償金提示額が自賠責基準の120万円を下回る理由は、任意保険基準での算定や過失割合の影響によるものです。提示額に納得がいかない場合は、弁護士に相談するなどして、適正な賠償金を受け取るための行動を検討しましょう。

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