任意整理後にJICCの信用情報に異動が載らない理由とは?仕組みと考えられるケースを解説

任意整理を行ったにもかかわらず、JICC(日本信用情報機構)から取得した開示情報に「異動(事故情報)」が記載されていなかった場合、「なぜ?」と疑問に思う方は少なくありません。信用情報に異動が記録されるのは一般的とされているため、表示されないケースにはいくつかのパターンや事情が関係しています。この記事では、JICCにおける信用情報の仕組みと、異動が表示されない可能性のある要因を詳しく解説します。

JICCの「異動」とは何か?

JICCにおける「異動情報」とは、いわゆる金融事故を意味し、次のような状態が記録された場合に該当します。

  • 61日以上の延滞または3か月以上の返済遅延
  • 代位弁済(保証会社が返済を肩代わり)
  • 債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)

通常、任意整理を行うと、対象となった債権について「異動」や「債務整理」の登録がなされ、いわゆる“ブラックリスト”状態として他の金融機関からも閲覧可能になります

異動情報がJICCに載っていない5つの可能性

開示情報に異動が記載されていない場合、以下のような理由が考えられます。

  1. 任意整理に応じた債権者がJICCに加盟していない
    JICCは任意加盟制のため、すべての金融機関が情報を登録・提供しているわけではありません。消費者金融や信販会社は加盟していることが多いですが、地方銀行や一部クレジット会社はCICやKSCのみの加盟ということもあります。
  2. 債権者が情報の登録を行っていない、または遅れている
    任意整理の成立後、異動情報の登録にはタイムラグがあることがあります。債権者側の事務処理状況により、まだ反映されていないという可能性もあります。
  3. 契約が完済・終了している場合
    任意整理に関わらず、すでに完済または契約終了となっている情報は、一定期間後に削除されている場合があります。通常、契約終了後5年を超えると情報が消去されるため、過去のものである可能性も。
  4. CICやKSCには記載されているが、JICCにはない
    信用情報機関は3社(JICC、CIC、KSC)ありますが、それぞれの加盟会社や記録内容は異なります。CICやKSCにしか異動を報告していないというケースも多く、他の情報機関への開示請求も合わせて行うべきです。
  5. 「任意整理」そのものが記録の対象外となっている
    任意整理は裁判所を通さない私的整理のため、報告義務がないと判断する債権者も存在します。この場合、延滞や代位弁済などがなければ異動とされない可能性もあります。

情報開示は3機関すべてから取得するのが基本

日本には以下の3つの主要な信用情報機関があります。

機関名 主な加盟会社
JICC 消費者金融・カードローン業者など
CIC クレジットカード会社・信販会社など
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 銀行・信用金庫・保証会社など

それぞれ記録される内容や加盟会社が異なるため、信用情報の正確な把握には3機関すべてへの開示請求が必須です。

例えば、JICCでは情報が見当たらなかったが、CICで「異動」記録が確認されたという例は珍しくありません。

信用情報に異動がないことのメリットと注意点

信用情報に異動が記録されていなかった場合、将来的なローン審査などで有利になる可能性もあります。特にクレジットカードの新規発行や住宅ローンなどの際に「事故歴なし」と判断されるため、信用回復の観点ではプラスに働きます。

ただし、現実に任意整理中であれば支払い義務が消えたわけではないため、今後の返済遅延などには注意が必要です。万が一再延滞などが発生すると、その時点で新たな異動情報が登録される可能性があります。

まとめ|JICCに異動が記載されていない=安心ではない

任意整理をしているにもかかわらず、JICCの信用情報に異動が表示されない場合、それは「登録漏れ」や「債権者の判断」「機関の違い」など複数の理由が考えられます。本当の信用情報の全体像を知るためには、CICやKSCも含めた情報開示を行うことが重要です。

自身の信用状態を正確に把握し、将来の金融取引に備えるためにも、3社すべての情報開示を行い、不明点があれば専門家への相談を検討しましょう。

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