鳥獣保護法と故意・過失の境界とは?ベランダの鳩の卵や釣りの事例から考える

鳥獣保護法は、日本国内に生息する野生の鳥獣およびその卵を保護対象とする法律であり、日常生活の中でも意外と関係する場面があります。たとえば、ベランダに鳩が巣を作って卵を産んだ場合や、琵琶湖でブラックバスを釣ったときの対応など。これらの場面で「うっかり壊した」「逃してしまった」といった状況が、法律上どのように扱われるのかを知っておくことは、トラブル回避のためにも重要です。

鳥獣保護法とはどのような法律か

鳥獣保護法(正式名称:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)は、野生鳥獣の保護と管理を目的とし、無許可での捕獲・殺傷・卵の損壊などを原則として禁止しています。

対象となるのは、スズメやハトなど一般的な野鳥を含む鳥類全般、またその卵も含まれます。特別な事情がある場合には、自治体や環境省への届け出や許可が必要です。

ベランダに鳩が巣を作った場合の対応

自宅のベランダに鳩が巣を作り、卵を産んでしまった場合、法律上はその卵を勝手に撤去したり壊したりすることはできません。原則としては、自治体(市区町村)に相談し、「卵の撤去許可」を得る必要があります。

しかし、誤って物を落とし、その拍子に卵が割れてしまったというケースでは、過失(わざとではない行為)と見なされ、直ちに処罰対象になる可能性は低いとされています。ただし、繰り返しや不自然な状況であれば、故意性を疑われることもあるため注意が必要です。

「手が滑った」などの過失が通用する範囲

法律上、「故意」と「過失」には明確な違いがあります。鳥獣保護法でも、故意に壊した・捕まえた・殺した場合は罰則の対象となりますが、過失による損壊などについては基本的に処罰されません。

例えば。

  • ベランダの掃除中に落下物で卵が割れた → 過失(処罰対象外)
  • 卵を壊す目的で棒などで突いた → 故意(処罰対象)

ただし、結果的に損壊させたとしても「回避努力がなされていなかった」と判断されると、責任を問われる可能性もあります。対応の際は写真などを記録に残しておくのも一つの対策です。

釣りにおける外来種放流の法的な扱い

ブラックバスなどの特定外来生物は、「生態系被害防止外来種リスト」に記載されており、琵琶湖などの水系では条例で「釣ったら持ち帰るか、現場での殺処分」が原則とされています。

その一方で、釣ったバスを「うっかり逃がしてしまった」という言い訳で放流する行為は、実質的には条例違反となり、悪質と見なされれば罰則の対象になります。

違いとしては、鳥獣保護法は「守る」ことを目的とした法律であり、外来種関連の規制は「排除」を目的としている点です。したがって、「逃がしたふり」はどちらのケースでもグレーゾーンですが、違反のリスクを伴うことに変わりはありません。

万が一破損・逃がしてしまったときの対応

過失で鳥の卵を壊してしまった、魚を逃がしてしまったといったケースでも、誠意ある対応が後のトラブル防止につながります。具体的には。

  • 事故直後に写真を撮って状況を記録
  • 必要に応じて市区町村(環境課など)に相談
  • 明確に故意ではないことを説明できるように準備

法的にグレーなケースでは、第三者(役所や警察)に説明できる証拠を持っておくことが安心につながります。

まとめ:過失と故意の違いを理解し、適切な対応を

鳥獣保護法においても、ブラックバス釣りにおける条例においても、「うっかり」「手が滑った」といった過失は、直ちに違法となるわけではありません。ただし、その判断は周囲の状況や対応次第で大きく変わります。

動物や自然と関わる場面では、法律に触れないよう慎重に行動すること、そして万が一の際は記録や相談を行うことが、安心と信頼につながる行動です。

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