交通事故後に、物損事故として処理していたにもかかわらず、相手が後日診断書を提出し人身事故に切り替えるケースは珍しくありません。このような事態に直面すると、不公平感や困惑を覚える方も少なくありません。この記事では、そのような状況にどのように対応すべきか、法律的視点や実務的な対処法を交えて解説します。
物損事故から人身事故への切り替えとは?
交通事故では、当事者が警察に事故の届け出をする際、物損事故か人身事故かを選びます。人身事故として扱うには、医師の診断書を警察に提出する必要があります。
事故直後には痛みがなかった相手が、後日「やはり痛む」として病院に行き、診断書を提出すれば、人身事故への切り替えが可能です。これは制度上認められており、不正とは言い切れません。
診断書がなくても実況見分は可能か?
警察の実況見分は、加害者・被害者問わず、診断書の有無にかかわらず実施されることがあります。実況見分では、事故状況や過失の程度が調査され、今後の保険交渉や処分に大きな影響を与えます。
被害者である自分が診断書を提出していない場合でも、事故の詳細を記録に残すために実況見分にしっかりと立ち会い、自身の状況を正確に伝えることが重要です。
相手の行動に対して不満を感じるのは普通
事故直後に「大丈夫です」と言っていた相手が後から人身事故に切り替えた場合、不満を感じるのは自然な感情です。しかし、交通事故の後遺症や痛みは2~3日経ってから現れることもあり、相手が嘘をついているとは限りません。
例えば、軽いむち打ち症は事故当日には自覚症状がなく、数日後に首や肩に痛みが出ることがよくあります。実際に筆者が相談を受けたケースでも、加害者側が初日は元気そうに見えた被害者が後から人身に切り替えたことに驚いていた事例が多数あります。
感情と事実は切り分けて考える
「相手は怪我していないはず」と感じたとしても、医師の診断が出ている以上、それを否定することは困難です。大切なのは、自分の主張を事実に基づいて冷静に伝えることです。
また、自分も違和感や痛みがあるなら、今からでも病院に行って診断書を取得することは可能です。警察にその旨を伝えれば、必要に応じて人身事故に切り替えることも検討できます。
まとめ:交通事故後の対応は冷静さが鍵
交通事故の相手が後から人身事故に切り替えた場合、戸惑いや不満を感じるのは当然です。しかし、交通事故の症状は遅れて出ることも多く、相手の行動が制度上適切であることも理解する必要があります。
感情に流されず、警察や保険会社との対応を冷静に進めることで、自分にとっても最善の結果を得ることができます。必要であれば、法律の専門家や交通事故に詳しい弁護士に相談することも選択肢の一つです。