2025年3月下旬、政府は米価高騰への対策として、備蓄米の放出を決定しました。しかし、4月末時点で小売業者への供給はわずか1.4%にとどまり、消費者の間で混乱が生じています。本記事では、流通の滞りの背景や全農の対応、そして今後の展望について詳しく解説します。
備蓄米放出の概要と初動の遅れ
政府は3月10日から12日にかけて、約14万2千トンの備蓄米を入札により放出しました。しかし、3月30日までに小売業者に届いたのはわずか0.3%の426トンに過ぎませんでした。農林水産省は、初動の遅れについて「トラックの手配や精米などの作業の調整に時間がかかった」と説明しています。参考記事
全農の対応と流通の現状
JA全農は、1回目と2回目の入札で約94%にあたる199,270トンを落札し、卸売業者との契約を完了しています。5月15日現在、全農は「販売先からの発注に応じて最大限に速やかに出荷を行っている」と発表しています。全農の発表
しかし、卸売業者からの発注がなければ出荷が進まない仕組みであるため、流通のスピードには限界があります。
流通の偏りと市場の反応
備蓄米の放出により、価格の安定が期待されましたが、実際には市場価格の下落にはつながっていません。その背景には、備蓄米の流通がJA全農と取引のある業者に偏っていることが指摘されています。JA全農と取引のない業者は備蓄米を仕入れることができず、市場での競争に不利な立場に置かれています。とけし商事の見解
農家や販売店、消費者の声と全農の説明
農家や販売店、消費者からは、備蓄米の流通の遅れや価格の高止まりに対する不満の声が上がっています。全農は5月15日付けで「政府備蓄米の取扱いに関するお知らせ」を発表し、現状の対応を説明していますが、具体的な改善策については明示されていません。
今後の展望と課題
政府は3回目の入札から流通の仕組みを見直す方針を示しています。具体的には、卸売業者間の販売を認めるなど、流通の柔軟性を高める措置が検討されています。これにより、備蓄米がより広く行き渡り、価格の安定につながることが期待されています。日テレNEWSの報道
まとめ
政府備蓄米の流通停滞は、初動の遅れや流通の偏りが主な要因とされています。全農は対応を進めていますが、卸売業者からの発注が前提であるため、流通のスピードには限界があります。今後は、流通の仕組みの見直しや、より多くの業者が備蓄米を取り扱えるような制度の整備が求められます。