小説に旧軍艦の名前を使っても大丈夫?創作と法律の境界線を解説

小説や漫画などの創作作品において、歴史的なモチーフや名前を用いることは珍しくありません。中でも旧日本海軍の軍艦名などは響きも格好よく、登場人物の名前や組織名に使いたくなることもあるでしょう。しかし、その使用は法律的に問題ないのでしょうか?この記事では、旧軍艦名の使用における著作権・商標権・名誉毀損の観点から解説します。

旧軍艦の名前に著作権はあるのか?

基本的に「艦名」そのものは、単なる名称(例:「大和」「武蔵」「長門」など)であり、著作権の保護対象にはなりません。著作権法では「思想または感情を創作的に表現したもの」が対象とされており、単語やフレーズ単体には原則として著作権は発生しません。

たとえば「大和」という名前は日本古来の地名に由来しており、一般名詞的な性格を持つため、自由に使用できます。したがって、小説内の登場人物に「大和」と名付けること自体に法的問題はありません。

商標権や商品名としての問題は?

著作権と同様に、商標権も特定の「商品・サービスとの結びつき」を前提に発生します。つまり、企業や団体が「大和」や「赤城」といった名前を商標登録しており、かつその使用が商品・サービスとの混同を招く場合に限り問題となりえます。

しかし、小説中のキャラクター名として使う限り、商品やサービスの表示とは関係ないため、商標権侵害には当たりません。ただし、キャラクター名を商品化してグッズ展開などを行う場合には、商標権との関係に注意が必要です。

名誉毀損や風評リスクへの配慮

旧軍艦名は日本の軍事的歴史や象徴性を伴うことが多く、特定の読者層には強いイメージを持たれています。そのため、軍艦名を悪役キャラクターに付けるなど、ネガティブなイメージで使用した場合、一部から批判を受ける可能性があります。

とはいえ、実在の個人に対する名誉毀損には該当せず、法的リスクは極めて低いと考えられます。ただし、歴史や戦争に対するリスペクトや倫理的配慮をもって表現することが、読者とのトラブル回避には重要です。

創作に活用する際の注意点と実例

たとえば、「長門」や「陸奥」といった軍艦名は、戦艦や県名由来のものでもあり、創作では自然な名前としても機能します。近年では『艦これ』や『アズールレーン』のように軍艦をモチーフとしたキャラクター作品も増えていますが、これらも著作権や商標に抵触しない範囲で展開されています。

創作の自由を守るうえで重要なのは、既存の商標やブランドと混同を招かない、特定の実在人物の名誉を毀損しないといった基本的なルールを守ることです。

まとめ

旧日本海軍の軍艦名を小説の登場人物に用いることは、法律上ほとんどの場合で問題ありません。ただし、使用にあたっては歴史的背景への配慮や、誤解を招かない表現の工夫が重要です。自由な創作活動を行いつつも、読者へのリスペクトを忘れずに作品作りを行いましょう。

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