放課後クラスなど、教育・保育の場ではキャラクターを使った教材や工作が子どもたちの関心を集めやすく、実施者にとっても魅力的な活動の一つです。しかしながら、たとえ非営利であっても著作物の使用には一定の法的配慮が必要です。この記事では、ポケモンなどのキャラクターが描かれたパッケージをコピーして使用する場合の著作権の扱いや、ぬり絵との違いについて詳しく解説します。
パッケージやキャラクターのコピーは著作権の対象
商品パッケージに印刷されているキャラクターやイラスト、図形などは基本的に「著作物」に該当します。ポケモンのように明確に著作権者(株式会社ポケモンなど)が存在する作品を、著作権者の許可なくコピーし配布することは、営利・非営利にかかわらず原則として著作権法違反に該当する可能性があります。
この場合、営利目的ではないからOKという誤解が広まりがちですが、たとえ50円の実費徴収であっても、「複製して配布」という行為そのものが著作権法に抵触する恐れがあるのです。
ぬり絵との違いはどこにあるのか?
インターネット上で配布されているポケモンのぬり絵を放課後クラスで使用している事例もありますが、こちらも基本的には「許諾を得て配布されているもの」か否かで判断が分かれます。
- 公式に公開されている無料ぬり絵素材(例:任天堂やポケモン公式サイトで期間限定配布されたものなど)であれば使用可能。
- 著作権者の許可を得ていない個人サイト等にアップされたぬり絵を印刷することは違法の可能性あり。
つまり、「出所不明なぬり絵」よりも、「パッケージそのものを印刷して再利用する」行為の方が著作権侵害のリスクが高いといえるのです。
善意であっても許されない?著作権は厳格に保護される
「子どもたちに喜んでもらいたい」「楽しんでもらいたい」という善意からの活動であっても、著作物を複製・配布する行為に法的な例外はありません。著作権法では、個人が家庭内で楽しむ範囲を「私的使用」として例外としていますが、教育現場で多数に配布することはこれに該当しません。
なお、教育機関においても授業目的公衆送信補償金制度(教育機関の授業目的利用に対する柔軟な取り扱い)がありますが、これは学校の授業(教科書など)に限られ、放課後クラスのような課外活動は対象外です。
どうすれば合法的にキャラクター工作を楽しめるか
放課後活動でキャラクター工作を安全に取り入れる方法には以下があります。
- 公式素材を使用する:ポケモン公式が提供している無料のダウンロード素材(例:公式ぬり絵キャンペーン)を使用する。
- 著作権フリーの素材を使う:キャラクターではないが、商用・教育利用可能な工作素材を提供しているサイト(例:いらすとや、ぬりえランド)を活用する。
- 保護者に自宅でパッケージを用意してもらう:学校側で印刷せず、各家庭で空き箱を持参してもらう方式で、著作権物を複製せずに活用できる。
こうした工夫によって、著作権を尊重しつつ、子どもたちの創作意欲を高める活動が可能です。
まとめ
ポケモンなどの著作物を使った工作を放課後クラスで実施する場合、たとえ実費徴収であっても、著作権者の許可なくパッケージやイラストを印刷して配布することは原則として違法とされる可能性があります。一方で、公式の無料素材を活用したり、著作権フリー素材に代替したりする方法を取ることで、安心して子どもたちと工作を楽しむことができます。教育活動においてこそ、著作権への正しい理解と対応が求められています。