性被害を受けた後、心身ともに大きなダメージを受けるのは当然のことです。事件当時は気が動転し、加害者に対して刑罰を望まなかったとしても、時間が経つにつれて心の傷が深く感じられることもあります。今回は、被害から半年以上経過した場合でも慰謝料請求が可能かどうか、またその際の手続きや注意点、支援制度について詳しく解説します。
刑事と民事は別物:慰謝料請求は可能
性犯罪に関する手続きは「刑事」と「民事」の2つがあります。刑事手続きで加害者に処罰を求めないと意思表示していても、民事で慰謝料を請求する権利は失われません。
たとえば、強制わいせつなどの性犯罪被害において、加害者が逮捕された後に不起訴処分となったり、被害者側が処罰を望まないと伝えた場合でも、民事訴訟によって慰謝料を請求することは可能です。
慰謝料請求の時効について
民事上の慰謝料請求には時効があり、一般的には以下のようになります。
- 加害行為を知った時点から3年以内
- 加害行為があった時点から20年以内(ただし、3年以内に知った場合に限る)
つまり、被害から半年しか経っていない場合は、時効にはまだ達していないため、慰謝料請求を検討する十分な猶予があります。
慰謝料請求の手続きと方法
慰謝料請求には主に以下の方法があります。
- 内容証明郵便での請求:まずは弁護士を通じて加害者に慰謝料を請求する通知を送る。
- 民事訴訟の提起:加害者が支払いに応じない場合、裁判所に訴えを起こす。
証拠としては、被害届の控えや診断書、事件当時のメモ、加害者とのやり取りの記録などが重要になります。弁護士に相談すれば、状況に合った方法で対応してもらえます。
費用の心配がある場合の支援制度
弁護士費用などが気になる方は、以下の支援制度の利用も検討しましょう。
- 法テラス(日本司法支援センター):一定の条件を満たすと、無料相談や弁護士費用の立替え制度が利用可能です。
- 性犯罪被害者支援団体:各地域にあるNPOや支援センターでは、心理的なケアに加え、法律面のサポートも行っています。
たとえば、被害者支援都民センターや性暴力救援センター大阪(SACHICO)などがあります。
加害者との関わりを避ける配慮も可能
民事訴訟で加害者と顔を合わせることに抵抗がある場合、弁護士が代理人としてすべての手続きを行うため、被害者本人が加害者と直接接触する必要はありません。
また、心的ストレスを軽減するために、非公開の裁判手続き(非訟事件)を利用することも検討できます。
まとめ
半年以上前の性被害でも、慰謝料請求は可能です。刑事手続きで処罰を求めなかった場合でも、民事手続きによって損害賠償請求は認められる余地があります。費用や精神的な負担が心配な場合は、法テラスなどの支援を活用し、信頼できる弁護士に相談することで、適切な手続きを進めることができます。まずは自分自身の心と生活を守るための一歩を踏み出してみてください。