交通事故と聞くと、大きな衝突をイメージする方も多いかもしれません。しかし、たとえ軽微な接触でも、それが“事故”である以上、ドライバーには法律上の対応義務が課されています。今回は少しユニークなシチュエーション、歩行者がウサイン・ボルト並のスピードで逃げた場合を例に、事故処理の考え方やドライバー側の責任について解説します。
どんな場合でも交通事故は「報告義務」が基本
道路交通法第72条では、交通事故を起こした当事者に対して「負傷者の救護」と「警察への報告義務」が定められています。これは相手がどれだけ素早くその場を去ろうとも、ドライバー側が事故を起こしたと認識した時点で適用されます。
つまり、歩行者が走り去っても、ドライバーは警察へ通報しなければならないということになります。
相手が「逃げた」からといって“当て逃げ”が成立しないわけではない
当て逃げ(道路交通法違反)は、事故後に救護や通報などを行わずその場を離れた場合に該当します。相手が去った場合でも、ドライバーが何の対応もしなければ“当て逃げ”に問われる可能性があります。
たとえば、明らかに人と接触しておきながら「大したことないから」と無視して走り去った場合などです。
ウサイン・ボルト並のスピードで逃げたらどうなる?
少しユーモラスな設定ではありますが、仮に接触直後に歩行者が100mを9秒台で去っていったとしても、それは事故が「なかったこと」になるわけではありません。ドライバーは逃げた理由を問わず、警察に事情を報告する必要があります。
このとき、目撃者の有無やドライブレコーダー映像があれば、後の処理でも有利に働きます。
実際にあった似たような事例
軽く接触した歩行者が「大丈夫です!」と笑顔で立ち去ったものの、後日親族から連絡が入り、事故証明を求められたという事例もあります。このようなケースでも、事故直後に警察へ連絡していなかったことでドライバー側が不利になることがあります。
つまり、軽微でも「事故かな?」と思ったら即通報、が鉄則です。
まとめ:逃げた相手がいても、自分の義務は変わらない
交通事故は「その場の判断」が非常に重要です。たとえ相手が走って逃げようとも、ドライバーは事故として対応しなければなりません。通報や状況記録を怠れば、最悪の場合“当て逃げ”として処罰される可能性もあります。万が一の事態に備えて、適切な対応方法をあらかじめ理解しておきましょう。