NHKから「契約がお済みでなければ、契約をお願いします」といった手紙や訪問が頻繁に届くことがあります。これらに対して無視を続けると、どのような法的リスクや影響があるのでしょうか。この記事では、放送法の規定や実際の対応策について詳しく解説します。
放送法第64条による契約義務
放送法第64条では、NHKの放送を受信できる設備(テレビなど)を設置した者は、NHKと受信契約を結ぶ義務があると定められています。これは、実際にNHKを視聴しているかどうかに関係なく、受信可能な設備を持っているだけで契約義務が生じることを意味します。
例えば、テレビを設置しているがNHKを見ていない場合でも、受信契約を結ぶ必要があります。これは、NHKの公共放送としての役割を支えるための制度です。
契約を無視し続けた場合のリスク
NHKからの契約要請を無視し続けた場合、最終的にはNHKが裁判を起こす可能性があります。最高裁の判例では、NHKが受信契約を拒否する人に対して訴訟を起こし、NHKの勝訴判決が確定した時点で契約が成立するとされています。
この場合、テレビを設置した時点に遡って受信料の支払い義務が発生し、過去の未払い分を請求される可能性があります。さらに、2022年の法改正により、未契約期間に対して割増金が課されることもあります。
時効の援用とその限界
受信料の支払い義務には5年の時効があります。つまり、過去5年分の受信料については、時効を援用することで支払いを免れることが可能です。ただし、時効を援用するには、正式な手続きを踏む必要があります。
また、未契約のまま放置していた場合、時効の援用が認められないこともあります。そのため、早めに対応することが重要です。
NHKとの契約を回避する方法
NHKとの受信契約を回避するためには、受信設備を設置しないことが基本です。具体的には、テレビやワンセグ機能付きの携帯電話、カーナビなどを持たないようにすることが求められます。
また、既に設置している受信設備を撤去し、NHKにその旨を連絡して解約手続きを行うことも可能です。ただし、NHKが受信設備の撤去を確認するために訪問することもあるため、注意が必要です。
訪問員への対応方法
NHKの訪問員が来た場合、以下のような対応が考えられます。
- インターホン越しに対応し、ドアを開けない。
- 「テレビはありません」と伝える。
- 「契約の意思はありません」と明確に伝える。
- しつこい場合は、警察に通報する旨を伝える。
訪問員が無理に家に入ろうとする場合、住居侵入罪や不退去罪に該当する可能性があるため、毅然とした対応が求められます。
まとめ
NHKからの契約要請を無視し続けることには、法的なリスクが伴います。放送法に基づき、受信設備を設置している場合は受信契約を結ぶ義務があり、無視を続けると裁判や過去の受信料の請求、割増金の支払いなどの可能性があります。
対応策としては、受信設備を設置しない、既に設置している場合は撤去して解約手続きを行う、訪問員には毅然と対応するなどが考えられます。自身の状況に応じて、適切な対応を取ることが重要です。