イラスト販売サイト「ココナラ」では、アニメやゲームなどの既存キャラクターを描いた“夢絵”や“サムネイル”制作の出品をよく見かけます。これらの活動は一見するとファンアートの延長のように見えますが、実は著作権の観点から見ると慎重になるべきグレーゾーンが存在します。本記事では、既存キャラクターを用いたイラスト制作が著作権的にどのような立場にあるのかを詳しく解説します。
著作権の基本とキャラクターの保護対象
日本の著作権法では、キャラクターのデザインや設定は「著作物」として保護されます。つまり、たとえ自分で描いたとしても、原作のキャラクターを模倣したイラストを無断で制作・販売することは、著作権侵害に該当する可能性があります。
例えば、特定のアニメキャラを模したイラストを有償で描いたり販売した場合、著作権者の許諾なしでは法的リスクを負うことになります。営利目的であればあるほどリスクは高くなります。
夢絵やサムネイル制作のグレーゾーン
「夢絵」とは、依頼者自身を既存キャラと共演させたイラストのことを指します。一方で、YouTubeなどの「歌ってみた」動画に使われるサムネイルも、人気キャラをモチーフにするケースが少なくありません。
このようなケースでは以下のような要素がグレーとされています。
- 依頼者の個人的使用を前提としているが、出品者が報酬を得ている
- 原作のビジュアルや世界観を模倣している
- 商用での使用が事実上行われている(動画の収益化など)
結果として、著作権者から警告や削除依頼が出される事例も少なくありません。
「真似して描く」のはどこまで許される?
特定のイラストレーターの構図や描き方、表現方法を参考にするのは勉強の一環でもありますが、意図的にそっくりに模写し、それを商用出品してしまうと著作権だけでなく「著作人格権」「不正競争防止法」にも抵触する恐れがあります。
また、個人が描いたサムネイルを「参考にした」として別のクリエイターが真似をして出品する行為も、一定の線を越えれば違法行為とみなされることがあります。
著作権を侵害しないためにできること
トラブルを回避しつつ活動するためには、以下のような方法を取るのが安全です。
- 完全オリジナルキャラを描く
- 著作権フリーや二次創作可のライセンスが明示されたキャラのみ扱う
- 企業の公式ガイドライン(例:任天堂・カプコン等)を遵守する
- サムネイル等に使う場合は、商用可の素材を活用する
加えて、ココナラの出品ガイドラインでも「著作権・肖像権を侵害する行為」は禁止事項として明記されています。
トラブル事例とその後の対応
ある人気イラストレーターが、既存キャラをモチーフにした夢絵を大量に受注していたところ、原作側から正式に「販売停止」の要請を受け、アカウント停止処分となった事例があります。
また、著作権者が黙認していた場合でも、後に態度を変更して一斉に削除要請を行うこともあるため、「黙っているからOK」という考えは非常に危険です。
まとめ:著作権を守りつつクリエイティブ活動を続けるには
既存キャラクターのイラスト制作や販売は、たとえファン活動であっても著作権法の枠内で行う必要があります。ココナラで活動するイラストレーターにとって、グレーなゾーンを攻めるよりも、オリジナリティや安全な範囲での創作を心がけることが大切です。
今後も安心して活動を続けるためにも、著作権の正しい知識を身につけ、信頼されるクリエイターを目指しましょう。