ゴム印は比較的簡単に注文・作成できる印章の一種で、ネットショップなどでも自由にデザインを入力して作成依頼が可能です。しかし、実在する会社名や保育園名、店舗名などを勝手に使って作成してしまった場合、何らかの法的リスクやトラブルにつながるのでしょうか?この記事では、ゴム印作成に関する法的観点とリスク、そして印鑑業者の対応について解説します。
ゴム印の作成に本人確認や審査はあるのか?
多くの印鑑業者(とくにネット注文の場合)は、ゴム印作成時に身分証明書の提示や事業証明などを求めることはほとんどありません。基本的には入力されたテキスト通りにそのまま製作されます。
例えば、「〇〇保育園」や「株式会社△△」という文言を入力しても、自動処理で進むショップが多く、内容確認をしていないことがほとんどです。
第三者の名称でゴム印を作成した場合のリスク
実在する法人や店舗、団体名でゴム印を勝手に作成することは、場合によっては名誉毀損や業務妨害といった法的問題に発展する可能性があります。以下は想定されるリスクの例です。
- その名称を使用して虚偽の書類や伝票などに使用した場合 → 私文書偽造罪・詐欺罪に該当する可能性
- 実在住所に郵便物が届き、受取人が困惑した場合 → 損害賠償を請求されるリスク
- SNSなどでゴム印画像が拡散され、実在の事業者に風評被害 → 名誉毀損・信用毀損による民事請求の可能性
たとえ「悪用の意図がなかった」としても、結果的に第三者に迷惑をかけた場合は、責任を問われることがあります。
法律上の責任はどこまで問われる?
単にゴム印を作成しただけで違法になるわけではありません。しかし、その使用目的や実際の行動が法的評価の対象になります。以下のような事例が考えられます。
- 私文書偽造罪(刑法159条):他人名義の文書を作成した場合。罰則は最大1年以下の懲役。
- 偽計業務妨害罪(刑法233条):虚偽の情報で他人の業務を妨害した場合。3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
たとえば、勝手に作成したゴム印を利用して見積書や領収書を作った場合、上記の罪に問われる可能性があります。
印鑑業者に問い合わせが行くケースは?
印鑑業者がトラブルの当事者に直接連絡を取ることは基本的にありません。ただし、トラブル発生時に警察や裁判所の要請を受ければ、注文者情報が開示される可能性はあります。
また、同一名称で複数回の注文があるなど、不自然な注文が続いた場合は、ショップ側から確認の連絡が来ることもあります。
まとめ:悪用しなければ違法ではないが、慎重な対応を
ゴム印は自由に作成できる反面、実在の組織や個人を模したゴム印を作ることには注意が必要です。たとえ公印でなくとも、内容や使用方法次第で法的責任が問われる可能性があります。
不用意に実在する名称を使ったゴム印を作成するのは避けるか、明確に個人使用・趣味の範囲であることを認識して、誤解を招かないようにしましょう。