フリー素材の人物写真をフィクションの「犯人役」に使うのはNG?名誉毀損との関係と安全な活用法

フリー素材サイトで提供されている人物写真は、広告や記事、デザインなど多様な場面で利用できる便利なコンテンツです。しかし、「フィクションの犯人」として使うなど、センシティブな用途では注意が必要です。この記事では、フリー素材の肖像利用に関する法的・倫理的なポイントと、映像制作における安全な人物素材の使い方について解説します。

人物フリー素材と利用規約の原則

多くのフリー素材サイトでは、人物写真の利用にあたって以下のような規約が設けられています。

  • 被写体の名誉・信用を傷つけるような使い方は禁止
  • アダルト、犯罪、反社会的文脈での使用は不可
  • 肖像権やパブリシティ権を尊重すること

たとえば、「いらすとや」「photoAC」「ぱくたそ」など有名なサイトでは、「モデル本人の社会的評価を害するような使い方は禁止」と明記されています。

フィクションの「犯人役」としての利用は問題か?

結論としては、たとえフィクションであっても、実在人物の写真(フリー素材)を殺人犯の役などに用いることは、利用規約違反となる可能性が高く、場合によっては名誉毀損で訴えられるリスクもあります。

特に問題となるのは以下のようなケースです。

  • 実在の人物として特定可能な構図・クローズアップ
  • 「犯人」や「詐欺師」など明確な負のレッテルを伴う表示
  • 本人の意図しないイメージが永続的にインターネットに残る形で掲載される

仮に「これは架空の登場人物です」と明記していても、閲覧者が誤解し、現実の評価に影響する可能性がある場合、名誉毀損や肖像権侵害として訴訟に発展するケースもあり得ます。

安全に実写フィクション作品を制作する方法

フィクション作品で人物写真を使う場合、以下のような方法を検討しましょう。

  • モデル契約済の写真素材を使う:被写体と肖像使用の範囲について明確に合意している商用利用向け素材サイトを選びましょう(例:PIXTA、有償のAdobe Stockなど)
  • 俳優・モデルとの個別契約:フィクション映像作品の場合は、事務所や個人と契約を交わし、出演同意と使用範囲を明確にします
  • AI生成画像やCGを活用:実在人物の権利を侵害しないために、合成画像やイラストを用いる手段もあります

特にテレビドラマや自主映画などで「犯人役」「悪役」を演じる場合、本人や事務所との契約で「役柄による社会的影響」も理解・同意のうえで進められます。

実例:名誉毀損が争点となった事案

過去には、フリー素材写真がアダルトコンテンツやネガティブな政治記事に無断で使用され、被写体側が名誉毀損や肖像権侵害で訴訟を起こしたケースがあります。

例えば、匿名ブログでフリー素材の人物写真が「犯人っぽい男」としてコラージュされ、被写体本人が精神的苦痛を訴えたという事案では、素材サイトの規約違反に加えて、民事上の損害賠償も認められた判例があります。

まとめ

フリー素材の人物写真をフィクションで使う場合、特に「犯罪者」「犯人」などネガティブな文脈での使用は、利用規約に違反し、名誉毀損など法的リスクを伴います。安全に作品制作を進めるには、モデルとの契約、またはAI画像やイラストの活用を検討するのが現実的です。

表現の自由と人物の権利保護は両立可能です。ルールを守って、安心・安全な創作活動を心がけましょう。

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