借金問題の法的整理手段の一つである「個人再生」。近年ではオンライン対応に強い遠方の法律事務所に依頼するケースも増えてきました。では、実際に裁判所とのやりとり、特に裁判官との質疑応答はどう進められるのでしょうか?この記事では、個人再生における面談や審尋(しんじん)の対応方法について解説します。
個人再生の基本的な流れ
個人再生は、借金を大幅に圧縮し、原則3年間で返済する手続きを裁判所に申し立てるものです。書類提出や弁護士との打ち合わせを経て、裁判所との面談(審尋)や認可決定が行われます。
東京や大阪などの主要都市を除く地方裁判所では、本人が出廷する形式(対面審尋)が今でも主流ですが、コロナ以降は一部裁判所で書面審理やオンライン面談の導入が進んでいます。
遠方の事務所に依頼した場合でも問題ない?
個人再生の申立先は、原則として本人の住所地を管轄する地方裁判所です。たとえば東京在住の方が大阪の弁護士に依頼した場合、裁判所は東京地裁となります。
この場合、弁護士は電話や郵送、オンラインで対応できますが、本人が参加を求められる手続き(例:履行可能性に関する質問)では、本人が裁判所に出頭する可能性があることを理解しておく必要があります。
裁判官との質疑応答はどう行われるのか?
個人再生の審理において、本人が呼び出されることのある主な場面は「審尋(しんじん)」と呼ばれる手続きです。ここでは以下のような質問を受けることがあります。
- なぜ借金を負ったのか
- 現在の収入・支出の見通し
- 再生計画の履行が可能かどうか
これらのやりとりは、10分〜30分程度の簡潔な面談形式で行われることが多く、難解な法律論ではなく、生活状況の確認が主です。
対面審尋があるかどうかは裁判所ごとに異なる
地方裁判所ごとに運用は異なり、全件審尋ありの裁判所と、弁護士代理人がついていれば本人の出頭が省略される裁判所があります。
弁護士に依頼する際は、「この地域の裁判所では本人出廷が必要かどうか」を確認しておくのが安心です。書面審理で済む裁判所であれば、遠方からでも十分対応可能です。
本人出頭が不安な場合の対処法
本人出頭を求められた場合でも、弁護士が事前に質疑内容を想定してアドバイスをくれるので、準備をすれば過度に緊張する必要はありません。
また、交通手段が確保できない場合や身体的に難しい事情がある場合は、弁護士を通じて出頭免除やオンライン面談を交渉する余地もあります。
まとめ
個人再生において遠方の事務所に依頼することは可能ですが、審尋などで本人が裁判所に出向く必要がある場合もあるため、事前に弁護士と裁判所の対応方針を確認することが重要です。地域によっては書面審理やオンライン化が進んでいるため、慎重に依頼先を選び、適切な準備を整えましょう。