故人の小説を元に漫画を描いたらSNS投稿はOK?著作権の基礎と注意点を解説

創作活動において、故人が書いた小説を元に漫画を描くという行為は、ストーリーやアイデアを形にするうえで魅力的な手法です。しかし、SNSに投稿する前に知っておくべき著作権のルールが存在します。今回は、著作権法の観点から「故人の小説をもとにした漫画」を公開してもよいのかをわかりやすく解説します。

著作権とは?基本の考え方

著作権とは、著作物(文章、音楽、絵など)を創作した人に自動的に与えられる権利です。著作物を無断で利用することは、たとえ営利目的でなくても著作権侵害となる可能性があります。

著作権は創作時点で自動的に発生し、原則として著作者の死後70年間保護されます(2024年現在)。つまり、たとえ作者が故人であっても、死後70年が経過していない場合は著作権が存続していると考えるべきです。

小説の内容を要約して漫画にする行為は「翻案」

原作の小説を要約し、それをもとに漫画を制作する行為は、著作権法でいう「翻案権(ほんあんけん)」の対象となります。翻案とは、著作物のストーリーや内容を別の形で表現することを指し、原作者または権利継承者の許可が必要です。

つまり、故人の小説を要約して描いた漫画も、著作権が有効である限り、無許可では投稿できません

著作権の相続者(継承者)にも注意

著作権は相続されるため、故人が亡くなった後はその権利は相続人に引き継がれます。仮に出版社や遺族が著作権を持っている場合、SNSへの投稿はその承諾が必要です。

たとえば出版社が文庫化している場合、出版契約に著作権が含まれている可能性があります。問い合わせ先として、原作者の所属していた出版社や、遺族が公表されていればその窓口に確認するのが最も安全です。

例外的にOKなケースとは?

以下のようなケースでは、著作権に抵触しない可能性があります。

  • 原作者の死後70年以上が経過している場合(著作権切れ)
  • 原作に触れず、完全にオリジナルの要素で構成されている
  • 明確に「パロディ」として独立した創作である場合(ただし判断は難しくリスクあり)

たとえば、夏目漱石や芥川龍之介のような明治〜大正の作家の作品は、著作権が消滅しており、自由に漫画化して公開することが可能です。

著作権を守りながら創作を楽しむには

創作の自由と著作権のバランスを取るためには、以下のような工夫が重要です。

  • 著作権の状態を調べる(作品名+著作権+死去年で検索)
  • 許可が取れる可能性があるなら正式に申請する
  • 元ネタに依存しすぎず、自分の表現を加えて独自性を強める

SNSは手軽に発信できる場ですが、他者の権利を侵害しないよう配慮することが信頼につながります

まとめ:投稿前に「著作権の期限」と「翻案の許可」をチェック

故人の小説をもとに漫画を描く場合、その小説の著作権が有効であれば、たとえ要約でも無断でSNSに投稿するのは違法の可能性があります。著作権が切れていない限り、遺族や権利者の許可を得るのが原則です。

創作を安心して楽しむためにも、著作権への理解を深め、正しい手順で作品を発表するように心がけましょう。

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