遺留分侵害額の支払いに贈与税はかかる?相続と税制の基本をわかりやすく解説

遺言によって相続財産から除外されてしまった場合でも、法定相続人には「遺留分」が保障されており、一定の金額を請求することが可能です。では、その結果得た金銭に贈与税が課税されるのかという点について、意外と誤解されていることが多いため、今回はその基本を詳しく解説します。

遺留分とは何か?

遺留分とは、民法で定められた「最低限の取り分」です。たとえ遺言書に自分の名前がなくても、直系卑属(子など)や配偶者などの法定相続人には、遺産の一定割合を請求する権利があります。

例えば子が2人いて、遺言で一方の子に全てが相続されると書かれていても、もう一方の子は遺留分侵害額請求という形で半分の半分、すなわち全体の4分の1を主張できます。

遺留分侵害額請求で受け取った金銭の扱い

結論から言えば、遺留分侵害額請求によって受け取った金銭には贈与税は課税されません。これはあくまで「相続財産の取り戻し」の一部であり、相続税の課税対象になるからです。

そのため、年間110万円の非課税枠など、通常の贈与とは区別されます。例え話し合いの末に和解金のようなかたちで受け取ったとしても、遺留分に基づく支払いであれば贈与税ではなく相続税が適用されるのです。

税務申告はどうするべきか?

遺留分侵害額に該当する場合、金銭を受け取ってから10か月以内に相続税の申告をする必要があります。遺産全体の金額や他の相続財産との関係で、課税対象にならないケースもありますが、税務署に相談または税理士に確認するのが安全です。

なお、金額が基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)以下であれば、課税も申告も不要になる場合があります。

和解金や任意の支払いだとどうなる?

遺留分請求の結果、家族間で「贈与」という形で支払われた場合や、遺留分の話が出ていない状態でお金を受け取った場合は注意が必要です。このようなケースでは、税務署が贈与と判断する可能性があり、贈与税の課税対象になることもあります。

とくに遺留分をめぐる明確な書面や証拠がない場合、税務上トラブルになることもあるため、金銭のやり取りには記録を残すことが重要です。

まとめ:課税区分を理解し、正しく対処を

遺留分に基づいて支払われた金銭は基本的に「相続税」の対象であり、「贈与税」はかかりません。ただし支払いの性質や手続きによっては贈与と見なされる可能性もあるため、税理士や専門家に早めに相談することが安心です。適切な知識と手続きをもって、大切なお金を安全に受け取ることが大切です。

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