万引きという犯罪行為に対して「現行犯でなければ逮捕できないのでは?」という疑問を抱く方は多いかもしれません。しかし、実際には現行犯逮捕に限らず、後日の捜査や逮捕も法律上可能です。今回は、万引きに関する法律の基本や、後日逮捕が可能なケース、店舗ができる対応について詳しく解説します。
万引きにおける「現行犯逮捕」とは
現行犯逮捕とは、犯行を行っている最中、または直後にその人物を逮捕することを指します。警察官だけでなく、一般人(店員など)でも、犯罪の現場に居合わせた場合には現行犯逮捕が認められています(刑事訴訟法213条)。
たとえば、商品をポケットに隠して店外に出た瞬間に店員が取り押さえた場合、これは現行犯逮捕に該当します。証拠がその場にあるため、逮捕・通報しやすいのが特徴です。
後日でも逮捕できる可能性がある
現行犯でなくても、状況によっては後日警察に通報し、捜査を通じて逮捕に至ることがあります。これは「通常逮捕」や「書類送検」などの手続きによって行われ、証拠の確保や監視カメラ映像の解析が重要になります。
たとえば、10月12日に万引きが発生し、翌13日に同じ人物が来店した場合、監視カメラの映像が証拠として残っていれば、本人確認のうえ警察に届け出ることで、捜査や逮捕が可能です。
店舗側ができる対策と手順
万引きに気づいた後、すぐに行うべきなのは証拠の保存です。監視カメラ映像やレジ記録、目撃者の証言などをまとめておきましょう。その上で、速やかに警察へ被害届を出すことが重要です。
また、万引き被害が多発する店舗では、警備員の配置や、カメラの増設、さらには「顔認識システム」の導入なども防止策として有効です。
現実の対応例
ある関東地方のスーパーでは、毎週同じ時間帯に現れる万引き犯を防犯カメラで記録し、顔写真とともに警察に提出。3週間後に警察が防犯映像を基に本人を特定し、後日自宅にて通常逮捕が行われました。
このように、明確な証拠があれば現行犯でなくとも対応が可能であり、店舗の防犯意識が高いほど、被害者側にとって有利な状況を作れます。
法的観点からの注意点
後日逮捕が可能であるとはいえ、私人による逮捕(店員や一般人)には限界があります。万引きの証拠が不十分な状態で無理に拘束しようとすると、不法逮捕とみなされるリスクもあります。そのため、確実な証拠を残し、警察に任せる対応が基本です。
また、防犯カメラの映像を無断で公開したり、SNSで犯人を晒したりすることは名誉毀損となる可能性もあるため、慎重な行動が求められます。
まとめ
万引きは現行犯でなくても、証拠があれば後日逮捕されることは法律上可能です。店舗側としては、証拠の確保と警察への通報が鍵となります。市民一人ひとりが正しい知識を持ち、冷静に対応することで、トラブルを未然に防ぐことができます。