交通事故による骨折などのケガで通院治療を続けている中、さまざまな理由から通院を中断せざるを得ないケースがあります。このような状況で「保険会社にどう説明すべきか」「補償に影響するか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、通院中断の際の対応や保険会社への伝え方、注意点について詳しく解説します。
通院の中止=完治ではない
医師から「通院を中止してもよい」と言われた場合でも、それは必ずしも完治を意味するわけではありません。特に「まだ骨が完全にはでききっていない」「運動は様子を見ながら」というような状態では、治療継続の必要があると考えられます。
このような場合、医師の判断を尊重しながらも、事情を保険会社に正確に伝えることが重要です。
「完治」「治癒」「中止」「中断」の違いを理解する
保険会社とのやり取りでは、医療用語に準じた表現を使うと誤解が生じにくくなります。以下は一般的な言葉の違いです。
- 完治:完全に治った状態。痛みも機能障害もない。
- 治癒:医師の判断で治療の必要がなくなった状態。
- 通院中止:患者または医師の判断で治療を一時的に止めた状態。
- 通院中断:やむを得ない理由で通えなくなったが、再開する予定がある状態。
今回のケースでは「医師の指示により通院を終了したが、完治や治癒の診断はされていない」という内容を正しく伝えるのがポイントです。
保険会社への伝え方の例
保険会社には次のように伝えると誤解を防げます。
「医師より『症状が落ち着いてきたため通院は一旦中止してよい』との説明を受けたため、6月〇日をもって通院を終了しました。ただし完治や治癒の診断は受けておらず、引き続き経過観察中であり、今後の状態によっては再通院の可能性もあります。」
このように、現状を正確に共有し「症状固定(後遺障害の可能性)」とみなされないよう注意を払いましょう。
通院中断が補償に与える影響
基本的に、通院日数や治療期間は慰謝料の計算に関係してきます。保険会社が「治療の必要がない=症状固定」と判断してしまうと、それ以降の通院分が補償対象外になる場合もあります。
ですので、医師に「再診の予定」や「経過観察が必要」などの所見を書いてもらい、通院証明書などの書類として保険会社へ提出するのも効果的です。
再通院や他院通院を検討する際のアドバイス
実習などで現在の病院に通えない場合は、地元の医療機関で引き続き経過観察を受けることも可能です。その際は診療情報提供書(紹介状)を持参し、治療継続の意思を保険会社にも伝えてください。
また、必要に応じて保険会社に事前相談し、治療の継続性が途切れないよう工夫することが肝心です。
まとめ
通院中止や中断は、完治や治癒を意味するものではありません。相手方の保険会社には、「医師の指示で通院を終了したが、完治ではない」ことを正確に伝えることが重要です。また、必要に応じて再通院の意思を明確にしておくことで、今後の補償への影響を最小限に抑えることができます。