選定療養費に関する疑義紹介の対応者は誰が適切か?事務職員が回答することの法的観点からの整理

病院での医療費の説明や対応について、患者側が疑問を感じる場面は少なくありません。特に「選定療養費」のような通常の保険診療とは異なる費用が発生する場合、事前の説明や疑義紹介の対応が重要になります。本記事では、医師が電話に出られず、代わりに事務職員が疑義紹介に回答した場合の法的・実務的な問題点を整理します。

そもそも「疑義紹介」とは何か?

疑義紹介とは、医療機関や調剤薬局が診療報酬の適正な請求を行うために、診療内容や費用に関して不明点を確認するための照会行為です。主に保険請求の正当性を確認する目的で行われ、診療報酬制度における重要なプロセスとされています。

この照会には、診療を担当した医師本人の判断や説明が必要とされる場合も多く、医師の専門的見解が求められる場面もあります。

選定療養費とは何か?

選定療養費とは、紹介状なしで特定機能病院などを受診する際に患者が支払う追加の費用で、保険適用外として自己負担となる費用です。

この制度の背景には、医療の適正利用の促進という政策的意図があり、厚生労働省が定める基準に基づき徴収されます。ただし、患者がこの費用に対して疑問を感じた場合、医療機関は丁寧に説明責任を果たす必要があります。

事務員が疑義紹介に対応した場合の問題点

原則として、医療の専門判断を要する説明(たとえば「なぜ選定療養費が発生したか」など)には、医師または保険請求責任を担う専門スタッフが対応すべきです。事務職員が一般的な案内を行うこと自体に違法性はありませんが、医師の判断に基づく説明が必要な内容まで含まれる場合は、医師の不在で回答することは不適切となる可能性があります。

特に保険者や支払基金とのやり取りに関しては、正確な情報提供が義務づけられているため、非専門職員の回答が後にトラブルの元となるケースもあり得ます

法的な位置付けと説明責任

医療機関は、患者に対して「インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)」の原則を遵守する義務があります。したがって、選定療養費の請求が妥当であるかを問われた際は、適切な職責を持つ職員による説明が求められます

民事上のトラブルや監査の際に「誰が説明したか」が問われる場合があるため、医師不在時の対応マニュアルの整備や、対応履歴の記録が重要となります。

具体例:実際にあった対応トラブル

ある患者が選定療養費に関して疑義を申し立てた際、事務職員が「全員に同じように請求しています」と説明。しかし、後に紹介状を所持していたことが判明し、返金対応と病院側の説明責任が問われたという事例もあります。

このような事例からも、回答者が誰であったかは、法的に重要な意味を持つことがわかります。

まとめ:疑義紹介の対応は正確な職責分担が鍵

選定療養費の疑義紹介において、医師が対応できない場合でも、医療行為に基づく説明は医師、または保険請求管理者が行うのが原則です。事務職員が代行した場合、内容によっては法的責任が問われる可能性があるため、注意が必要です。患者との信頼関係や将来の紛争回避のためにも、正しい知識と対応体制の構築が重要です。

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