駐車場から出る際の物損事故と過失割合の考え方|自車が停止していても責任ゼロではない?

自宅前の路地や駐車場から車を出す際は、意外にも事故リスクが高いシチュエーションの一つです。たとえ自車が停止していたとしても、車両の一部が道路にはみ出していた場合、過失割合が問われるケースがあります。この記事では、狭い道路や駐車場周辺での物損事故における過失割合の考え方と、実際の判断基準について解説します。

物損事故の基本と過失割合の仕組み

物損事故とは、人身ではなく車両や建物などモノに対する損害が生じた交通事故のことを指します。事故の責任は、「過失割合」という形で数値化され、各当事者の損害賠償額に反映されます。

この割合は保険会社間の協議や、過去の裁判例を元にした「別冊判例タイムズ(通称:赤本)」に基づいて決められます。

今回のようなケースの典型例

今回のケースのように、自宅の駐車場から出ようとしていた車と、バックで入ってきた業務用車両が接触した場合、以下のような判断要素があります。

  • 自車は停止していたが一部が道路にはみ出していた
  • 相手車両は後退(バック)で進入してきた
  • 接触点は自車の前方(ボンネット・ライト)

このような状況では、停止していた自車にも「道路上に障害を形成していた」という点で一定の過失があると判断される可能性があります。

判例に見る参考となる過失割合

類似の判例では、たとえば「駐車場出口から車の頭が出ていた状態で後退してきた車と接触」した場合、バックしてきた車の過失が70~80%、停止車側の過失が20~30%とされるケースが多いです。

ただし、完全に停止していた上に、警戒表示などをしていたと認められれば、自車の過失はより低く評価されることもあります。

「動いていなければ無過失」は通じない

一般的に「車が停止していた=過失なし」と思われがちですが、道路上に不適切な停止やはみ出しがあれば、それ自体が過失とされる場合があります。

たとえ20cmでも車体が公道に出ていれば、他の通行車両の妨げになったと見なされる可能性があるため、「完全に私道内に収まっていたか」が重要な判断基準になります。

保険会社とのやり取りでの注意点

過失割合は法律で明確に定まっているものではなく、交渉で決まるため、保険会社の主張に納得がいかない場合は、第三者機関への相談も視野に入れましょう。

また、事故状況を正確に伝えるためにも、現場の写真や相手車両の動きの証言などを集めておくことが有効です。

まとめ:物損事故の過失割合は状況次第で変動する

今回のような「狭い路地でのバック車との接触事故」では、たとえ停止中であっても、車体が道路にはみ出していたというだけで一定の過失を問われることがあります。「止まっていた=0%」とは限らないことを認識し、今後の運転や駐車方法にも注意を払いましょう。

不明点がある場合や納得できない場合は、国民生活センターや弁護士への相談もおすすめです。

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