交通事故の中でも特に多い「追突事故」ですが、前の車が急ブレーキをかけた場合の過失割合については意外と知られていません。本記事では、急ブレーキによる追突事故の過失割合の考え方と、相手が保険会社を使わない場合の対応方法について解説します。
基本の過失割合:追突事故は「10:0」が原則?
通常、追突事故では「後方車が100%悪い(10:0)」と判断されがちです。これは道路交通法第26条により、後続車には前方車両との車間距離を保ち、追突を避ける義務があるためです。
しかし、この原則には例外も存在します。たとえば、前の車が理由のない急ブレーキをかけた場合は、その過失が考慮されるケースもあります。
急ブレーキがあった場合の過失割合の変化
前方車が不意に急ブレーキをかけたと証明できる場合、後続車10:前方車0が後続車8:前方車2や7:3などに修正されることがあります。
例えば、信号のない直線道路で急ブレーキを踏まれた事例では、ドライブレコーダーの映像により前車の過失が認定され、9:1の判断が下されたこともあります。
ただし、単なる「急ブレーキ」ではなく、「不必要な急ブレーキ」であることが求められます。例えば動物の飛び出しや渋滞回避などの正当な理由がある場合は前方車に過失はつきません。
相手が保険会社を使わない場合の注意点
事故の相手が「保険会社を使わない」と言ってきた場合は、慎重な対応が必要です。保険会社が間に入らないと、過失割合の認定や賠償金の支払いが個人間交渉になります。
その場合、
- 書面でのやりとりを記録する
- 会話内容は録音しておく
- 過失割合について中立的な第三者(弁護士や交通事故相談窓口)に相談する
などの対策が必要です。
特に「過失割合を自分で決めよう」とする相手には注意が必要で、根拠のない要求に応じると後でトラブルになりかねません。
交渉に備えて準備しておきたい証拠
過失割合を左右するのは、証拠の有無です。以下のような証拠は非常に有効です。
- ドライブレコーダーの映像
- 現場写真(ブレーキ痕や車間距離)
- 事故の発生時間と位置情報
- 目撃者の証言や連絡先
特にドライブレコーダーは、急ブレーキのタイミングや相手の行動を客観的に記録できるため、法的にも強い証拠になります。
話し合いでの解決はどこまで可能か
相手が保険を使わない場合、過失割合の決定は原則「話し合い」となります。ただし、これは法律的な根拠に基づくべきであり、感情論や常識では判断できません。
納得できない場合は、「交通事故紛争処理センター」や「弁護士特約付き保険」の利用を検討しましょう。無料相談を行っている機関もあり、話し合いが行き詰まったときの強い味方になります。
まとめ:冷静な証拠収集と法的判断がカギ
追突事故であっても、前方車の行動に過失が認められるケースは存在します。しかし、その主張を裏付けるには客観的な証拠が不可欠です。
また、相手が保険を使わない場合でも、法的根拠に基づいた交渉を行うことで、自身の立場を守ることが可能です。焦らず冷静に、必要な対応を一つずつ進めていきましょう。