親が亡くなった後に「知らない間に土地が売却されていた」「義母が勝手に動いているようだ」といった不信感を抱くケースは決して少なくありません。特に不動産や預貯金といった相続財産が絡む場合は、法的な知識と冷静な対応が必要です。この記事では、不動産売却の時期や名義、銀行口座の確認方法など、相続でのトラブルを防ぐ・解決するためのポイントを解説します。
亡くなる直前の不動産売却:法的に有効なのか?
不動産の売却は所有者本人が行えば基本的には有効です。しかし、亡くなる直前の売却となると、本人の判断能力や真意が問われる場合もあります。たとえば病床にいて意思表示が困難な状況であった場合、「意思能力がなかった」として売買契約自体の無効を主張できる可能性もあります。
特に、認知症や意識障害があった、または委任状を悪用された疑いがある場合は、法的な精査が必要です。
不動産売却の経緯を調べるには?
まずは登記簿謄本(登記事項証明書)を法務局で取得しましょう。誰がいつ名義変更したのか、売買か贈与かなど、詳細が記録されています。次に、不動産会社へ問い合わせることで、売却時の契約書ややり取りの記録が残っている可能性があります。
また、もし父親名義であったにもかかわらず、契約書に別人の署名があれば「なりすまし売却」の疑いもあります。早急に弁護士に相談すべき案件です。
銀行口座の確認と調査方法
亡くなった人の銀行口座は、相続人が死亡届と戸籍、身分証明書を持参すれば、各銀行で残高証明や取引履歴の開示を請求できます。特に死亡直前の出金履歴は要チェックです。
第三者(例:義母)によって無断で出金された形跡がある場合、不正出金や背任の可能性もあり、返還請求が認められることもあります。相続人であれば、金融機関への照会は正当な権利です。
義母による財産管理に不安がある場合の対処法
義母が被相続人の財産を管理していた場合、「預かっていただけ」と主張されることも多くあります。ですが、法的には明確な根拠がなければ相続人全員の合意なく処分することはできません。
もし義母が勝手に不動産を売却し、その代金を自分の口座に入れていた場合、相続人はその分の返還を請求できます。疑念がある場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てるとよいでしょう。
相続トラブルでありがちな実例
ある家族では、父の死後、義母がすでに実家の土地を売却していたことが判明。売却は死亡1日前に行われており、本人の署名に疑問があったため、調査の末に筆跡鑑定を行い、不正売却が発覚しました。弁護士の介入により、売却無効と相続財産への復帰が認められた例もあります。
また、銀行残高を確認した結果、死亡当日に高額出金があり、通帳と印鑑が義母の手元にあったことが発覚。最終的に裁判で一部の資産が返還されました。
まとめ:少しでも不審があれば記録と相談を
相続は信頼関係が崩れやすい領域です。不動産や預貯金に不審な点があれば、登記簿・銀行記録・契約書などの証拠を確保し、早めに法的手続きを検討することが大切です。義母や親族との関係に悩んでいても、泣き寝入りせず、弁護士や司法書士などの専門家に相談することで道が開けることもあります。