旅行やレジャーの場面で発生する「割り勘トラブル」。とくにレンタカー代の清算をめぐって「相手が金額をごまかしていたのでは?」と感じた経験をお持ちの方もいるかもしれません。この記事では、友人や知人がレンタカー代を不正に多く請求していた場合、それが法的にどのように扱われるのか、実例とともにわかりやすく解説します。
金額をごまかす行為は詐欺にあたるのか?
他人をだまして金銭を得た場合、刑法246条の「詐欺罪」に該当する可能性があります。詐欺罪が成立するためには、以下の4つの要件が必要です。
- 相手をだます行為(欺罔行為)があったこと
- その結果、相手が誤信したこと
- 誤信により自発的に財物(お金)を交付したこと
- 交付された財物が相手のものになったこと
今回のように、レンタカーの明細が8800円であるにもかかわらず、1人分として1万2000円を請求し、その差額を自分のものにしていた場合、「欺罔によって金銭を取得した」という構成は成立し得ます。
友人関係でも成立する?民事と刑事の違い
相手が友人であっても、詐欺罪は成立する可能性があります。ただし、刑事告訴するかどうかは別問題で、実際には次のようなアプローチが取られることが多いです。
- 民事上の不当利得返還請求:ごまかされた分(例:3200円)を返してもらうよう請求することができます。
- 話し合いや和解:証拠(レシートなど)を示し、差額の返還を求めることで穏便に解決するケースもあります。
一方で、何度も同様の行為を繰り返していたり、金額が大きい場合は、刑事的手続きを検討する余地もあるでしょう。
実際に相談が多い「割り勘詐欺」トラブル
近年は、SNSや掲示板でも「旅行や飲み会の会計を不当に多く請求された」という相談が散見されます。
たとえば、友人がタクシー代を多めに申告していた、ネット予約の明細より高い金額で請求していたといった事例です。こうした問題が続くと、関係の悪化や金銭トラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。
証拠として有効なものとは?
もし相手に金額をごまかされたと感じた場合、次のような証拠が重要になります。
- レンタカーの利用明細やレシートの写真
- LINEやメールなどのやりとりのスクリーンショット
- 現金で渡した場合はその証言やメモ
これらの証拠があれば、相手に正当に返金を求めたり、必要に応じて第三者機関に相談することも可能です。
法的措置を取るかの判断基準
たとえ詐欺罪が理論上成立しても、実際に警察に相談するかは慎重に検討すべきです。少額の場合や一度限りであれば、まずは冷静に話し合いで解決を目指すのが一般的です。
逆に、繰り返し金額をごまかされたり、金銭感覚に信頼が持てない場合は、消費生活センターや法テラスなどの公的機関に相談するのも一つの方法です。
まとめ
レンタカー代の割り勘で相手に金額をごまかされた場合、それが故意であれば、詐欺罪が成立する可能性があります。ただし、実際にはまず証拠を確保し、冷静に話し合いで解決することが大切です。信頼関係を損なわないためにも、金銭のやりとりはできるだけ透明にし、明細や証拠を共有することをおすすめします。