通勤中に自転車との接触事故に遭い、加害者が逃げてしまったというケースは近年増加しています。歩行者としての立場、補償の行方、そしてどこに相談すればよいのか悩む方も多いでしょう。本記事では、事故直後の対応から労災申請、警察への届出、自転車保険との関係まで詳しく解説します。
通勤中の事故は労災の対象になる
会社へ出勤・退勤中に発生した事故は、たとえ自転車や第三者によるものでも、「通勤災害」として労災保険の対象となります。会社へ速やかに報告し、労災指定病院または対応してくれる医療機関を受診するのが第一歩です。
会社が労災申請の手続きをしてくれない場合は、労働基準監督署へ直接相談することも可能です。
事故の証拠は「逃げられても」残しておくべき
たとえ加害者が自転車で逃げてしまった場合でも、事故現場の写真や目撃者の証言、受傷箇所の記録は後から重要な証拠になります。
スマートフォンで撮影した写真や、通行人が目撃していればその証言もメモしておきましょう。可能であれば、防犯カメラやドライブレコーダーの映像も確認しておくことをおすすめします。
警察への届出は絶対に行うべき
自転車との事故でも、「交通事故証明書」がないと労災や保険対応に支障が出る場合があります。逃げられてしまった場合でも、速やかに最寄りの交番や警察署へ届出を行いましょう。
その際、事故発生日時・場所・相手の特徴などを詳しく伝えることで、「人身事故」として記録に残すことができ、のちの証明に役立ちます。
自転車保険と加害者不明の課題
現在、自転車保険の加入は多くの自治体で義務化されています。しかし、加害者がその場から立ち去ってしまった場合、加害者の特定ができない限り保険請求は困難になります。
このような場合、被害者自身の傷害保険や通勤中であれば労災保険を活用して治療費をカバーすることが現実的な対応です。
自転車事故と「逃げ得」の実態
自転車と歩行者の事故で、加害者が立ち去ってしまう「ひき逃げ」に近いケースは残念ながら少なくありません。近年は自転車による加害事故の認知も広まりつつありますが、ナンバープレートがないことや本人確認が難しいことが逃げ得を助長している現実もあります。
しかし、逃げたとしても罪がなくなるわけではありません。事故報告や監視カメラ映像から後に特定されるケースもあり、警察に届けることが抑止力にもつながります。
実例紹介：通勤中に自転車と接触して逃げられた事例
ある会社員が朝の通勤中、歩行者専用道路で自転車に接触されて転倒。加害者はそのまま走り去りましたが、会社に報告し労災を申請。すぐに警察へも届出を行い、人身事故として記録に残りました。防犯カメラの協力もあり、2週間後に加害者が特定され、保険対応で治療費が支払われました。
このように、泣き寝入りせずに対応を取ったことで救済につながった例も少なくありません。
まとめ：逃げられても必ず記録と届出を
自転車との接触事故で加害者に逃げられたとしても、証拠の保存・警察への届け出・労災の活用といった正しい対応を行うことで、治療費の補償や将来的な加害者特定につながる可能性があります。泣き寝入りせず、一歩ずつ対処していくことが自分を守る最善の方法です。