一般の人々には馴染みのない警察用語には、業務の中で自然と使われる略語や符丁が多く含まれています。「りょうとら（両虎）」もその一つで、警察の実務や無線交信、さらには警察官の間での俗語として使用されることが多い言葉です。本記事では、この「りょうとら」という用語の意味や使用される場面について、分かりやすく解説していきます。
「りょうとら」とはどういう意味か？
「りょうとら（両虎）」とは、警察業界で使われる隠語で、「両方向からの取り締まり」や「挟み撃ち」を意味することが多いとされています。具体的には、交通違反の摘発などで、進行方向の手前と奥にそれぞれ警察官やパトカーを配置し、違反車両を逃さずに確保する手法を指します。
このような配置を「両サイドから虎が獲物を狙う」ことになぞらえ、「両虎（りょうとら）」という表現が生まれたと考えられます。
現場での具体的な使用例
例えば、スピード違反の取締りを行う場面では、先にレーダーを設置した警察官が速度を測定し、少し先の場所にいるもう一人の警察官が違反車両を停止させるという形がよく見られます。この配置が「りょうとら」に該当します。
また、繁華街での違法駐車や薬物犯罪の取り締まりなど、逃走の可能性がある場面でも、出口や分岐点を複数の警察官で封じる形で行われる作戦があり、これも「両虎作戦」として認識される場合があります。
無線交信や報告書での使われ方
「りょうとら」という用語は、日常的に一般人の前では使われることは少ないですが、無線交信や内部の打ち合わせ、警察官同士の会話で使われることがあります。例えば、「現場は両虎で対応中」や「次の交差点、両虎体制でお願い」など、短く明快に伝えるために用いられます。
一方、公式な報告書や書面にはこのような俗語は使用されず、「二方向からの確保体制」「挟み撃ちによる検挙」などと記載されるのが一般的です。
なぜ隠語や略語が使われるのか？
警察官が業務中に使う隠語や略語にはいくつかの理由があります。一つは、現場での情報伝達を迅速に行うためです。限られた無線通信時間や緊迫した状況下では、簡潔かつ明確に意思疎通が求められます。
もう一つの理由は、外部に情報が漏れることを防ぐためです。違反者や第三者に作戦意図を悟られないよう、専門用語や略語を使ってカモフラージュすることが、現場の安全と作戦の成功に繋がります。
まとめ：現場の知恵が生んだ警察用語「りょうとら」
「りょうとら」という言葉は、警察現場で効率的かつ安全に取り締まりを行うために生まれた実用的な隠語です。市民にとってはなかなか耳慣れない言葉かもしれませんが、警察活動の一端を理解するきっかけとして知っておくと、ニュースやドラマの中の警察シーンもより興味深く見ることができるかもしれません。
今後も、こうした現場用語の背景を知ることで、警察業務の実態への理解がより深まることが期待されます。