偽物ブランド品の販売と法律の関係:合意があっても違法になる理由とは

近年、フリマアプリやネットオークションの普及により、個人間でのブランド品の取引が活発になっています。中には「偽物であることを説明した上で販売した」「購入者も理解していた」といったケースもありますが、それでも違法となる可能性があることをご存知でしょうか?この記事では、偽ブランド品の取引に関する法律的なリスクについて、実例を交えてわかりやすく解説します。

商標法違反は「合意」があっても成立する

日本の商標法では、商標権者の許可なく他人の登録商標を使用した商品(つまり偽物)を販売・頒布・所持する行為は商標法違反とされます(商標法37条)。

重要なのは、購入者が偽物であると知っていたかどうかに関係なく、販売行為自体が違法という点です。たとえ双方が合意の上でも、商標権を侵害しているため、法的責任を免れることはできません。

刑事罰や民事責任の可能性も

商標法違反が認められた場合、販売者は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(商標法78条)。

また、民事上でも商標権者から損害賠償請求や差止請求がなされる可能性があります。ブランド価値の毀損や損失を理由に数百万円規模の請求がされることもあります。

実際の摘発事例とその教訓

過去には、フリマアプリで偽物ブランド品を「レプリカ」と明記して販売していた個人が摘発された例があります。購入者に偽物であることを明かしていても、商標の無断使用が違法と判断され、逮捕・起訴に至っています。

また、「知人に頼まれて1回だけ販売した」というケースでも、数量や頻度に関係なく違法行為とみなされることがあります。

中古品販売やリユースとの違い

中古の正規ブランド品を販売する行為は、通常は違法ではありません。ただし、真正品であると誤認させるような表示や、修理・加工された商品の場合は、著しく品質を損なっていないか注意が必要です。

一方で偽物ブランド品(模倣品)は「知的財産権侵害物」とされ、たとえ1点のみであっても流通させること自体が法律に反するため注意が必要です。

まとめ

偽物ブランド品の販売は、たとえ購入者と合意していたとしても、商標法違反となり刑事・民事の責任を問われる可能性があります。軽い気持ちでの取引が重大な法的リスクを招くこともあるため、ブランド品の取引には慎重な判断が求められます。

「知らなかった」では済まされないのが知的財産法の世界です。リユース品や中古品を扱う場合も、真贋の確認を徹底し、安心・安全な取引を心がけましょう。

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