交通事故により通院治療を受けた場合、被害者には慰謝料や休業損害の請求が認められることがあります。とくに主婦の方は、給与所得がなくても家庭内労働の価値を基に休業損害を請求できます。本記事では、自賠責保険の基準を中心に、実際の通院日数や通院期間をもとにした慰謝料計算の考え方、主婦の休業損害の算出例について解説します。
慰謝料の計算は「通院期間」と「実通院日数×2」の少ない方で決まる
自賠責基準による入通院慰謝料は、1日あたり4,300円(2023年現在)で計算され、次の2つのうち少ない方の「対象日数」が基準となります。
- 通院期間(日数):治療開始日から治療終了日までの日数
- 実通院日数×2
たとえば、2024年1月20日から4月19日まで通院(90日間)し、実通院日数が23日であれば、23日×2=46日となります。
この場合、慰謝料は46日分×4,300円=197,800円となります。
主婦でも休業損害は請求できる
主婦の場合、「家庭内労働」に経済的価値が認められており、休業損害を請求することが可能です。裁判所基準では、専業主婦の休業損害日額は平均賃金に基づき、おおよそ1日あたり約7,100円〜8,500円程度で計算されます。
たとえば、事故による影響で23日間家事ができなかったとした場合、23日×7,800円=179,400円が休業損害として認定される可能性があります。
第三者行為届け出制度を利用している場合の注意点
健康保険を使って治療を受ける場合、加害者に請求する費用を健康保険組合が立て替える「第三者行為による届出」が必要になります。これは慰謝料や休業損害の請求そのものを妨げるものではありませんが、治療費の補償先が健康保険になる点に注意が必要です。
慰謝料や休業損害の計算自体は変わりませんが、示談時に健康保険組合との調整が必要になることがあります。
弁護士を通じた請求なら裁判所基準も視野に
自賠責保険はあくまで最低限の補償であり、弁護士を通じて交渉する場合は「裁判所基準」や「任意保険基準」での算出が可能になります。これにより、慰謝料は1日あたり4,300円より高く設定されることが多く、また主婦の休業損害も実情に応じて柔軟に認定されやすくなります。
例えば、同じ46日間であっても、裁判所基準で1日5,500円が適用されれば、慰謝料だけで253,000円に増額されることになります。
まとめ:正しい計算と主張が慰謝料・損害賠償の鍵
交通事故による慰謝料の計算は、単に通院した日数だけでなく、期間とのバランスや治療の実態を踏まえて決まります。主婦の方も休業損害をしっかり請求できる権利がありますので、安易に妥協せず、専門家に相談しながら進めるのが賢明です。
示談に進む前に、日数や計算方法を把握し、納得のいく補償を受け取れるよう備えておきましょう。