現代ではSNSでの誹謗中傷や個人情報の晒し行為が社会問題となっています。特に写真や実名を伴った投稿によって精神的苦痛を受けた場合、侮辱罪や名誉毀損罪に該当する可能性があります。本記事では、投稿から3年以上経過していても訴えることができるのか、時効の考え方や法的対処法について詳しく解説します。
侮辱罪・名誉毀損罪とは何か?
侮辱罪(刑法231条)は、公然と人を侮辱する行為に適用され、内容が具体的な事実でなくても成立します。一方、名誉毀損罪(刑法230条)は、公然と事実を摘示して人の社会的評価を低下させる行為に適用されます。
例えば、「この人はバカだ」とSNSに投稿すれば侮辱罪の対象、「この人は万引きした」と事実のように投稿すれば名誉毀損罪となります。
刑事告訴の時効とその起算点
侮辱罪・名誉毀損罪は「親告罪」であり、告訴期間(時効)は、犯人を知ってから6か月以内です。つまり、投稿された日からではなく、「被害者が加害者を特定できた日」が起算点となります。
ただし、犯人が誰か分からない状態ではカウントが進まず、投稿内容に気づいても犯人が特定できなければ時効は進行しません。犯人のIPアドレスやアカウント情報が判明してから6か月以内であれば、刑事告訴は可能です。
民事訴訟における損害賠償請求の時効
民事上の損害賠償請求(不法行為に基づく請求)は、原則として「被害と加害者を知ってから3年以内」または「行為時から20年以内」であれば可能です(民法724条)。
たとえば、2021年に投稿された内容に2024年に気づき、2024年に投稿者の特定ができた場合、そこから3年間は損害賠償請求の可能性があるということです。
SNS投稿を訴えるための具体的なステップ
- ① スクリーンショットなどで投稿の証拠を保存
- ② 投稿者のアカウント情報やIPアドレスの特定を弁護士に依頼
- ③ プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報開示請求を行う
- ④ 投稿者が特定された後、刑事告訴または民事訴訟を検討
これらは専門知識を要するため、なるべく早く弁護士へ相談することが重要です。特に時効の進行に関わるため、迅速な対応が求められます。
加害者が不明なままの場合の注意点
投稿から時間が経っていたとしても、加害者の特定ができていなければ、告訴や請求の準備を進めておくことが重要です。また、被害者の心情や生活への影響が大きい場合、損害賠償請求と並行してプラットフォーム運営会社に削除要請を行うことも可能です。
なお、Twitter(X)やInstagram、5ちゃんねるなどの匿名性の高いプラットフォームでは、発信者情報開示にかかる時間や費用も考慮する必要があります。
まとめ:訴える可能性はある、早めの法的対応を
SNSでの侮辱や名誉毀損に3年以上前の投稿が関係していたとしても、気づいた時点から法的措置が可能なケースも多くあります。刑事・民事それぞれの時効のルールを理解し、証拠確保と発信者の特定を進めることが大切です。
専門知識が必要な場面が多いため、弁護士相談サイトなどを活用し、早期に相談することが、権利を守る最善の一歩です。