スマートフォンの普及により、誰でも簡単に写真や動画を撮影し、それをSNSなどに投稿できる時代になりました。しかし、街中で他人を無断で撮影してSNSに公開する行為は、時に重大な法的問題を引き起こす可能性があります。本記事では、こうした行為にまつわる法律上のリスクや、万が一SNSに自分の画像が掲載された場合の対応策について詳しく解説します。
他人を無断で撮影・投稿する行為の法的な位置づけ
日本においては、街中などの公共の場であっても他人の顔が明確に写っている写真や動画を無断で撮影・公開することは、法律上の問題となり得ます。特に次のような権利の侵害が問題になります。
- 肖像権の侵害:本人の同意なく容姿を撮影・公開された場合に成立。
- プライバシー権の侵害:その人の私的情報が含まれている場合。
- 名誉毀損:侮辱的な文脈で使用されている場合。
特に肖像権の侵害については、訴訟事例も多く、投稿者に損害賠償責任が認められたケースもあります。
SNS投稿が違法になる典型的なパターン
以下のような投稿は、特に問題となる可能性が高いため注意が必要です。
- 顔が鮮明に映っていて、第三者が特定できる写真
- 明らかに撮影されていることに気づいていない人を盗撮したもの
- 誹謗中傷を伴うキャプション付きの投稿
- 「晒し」や「炎上目的」で意図的に個人を撮影・拡散した投稿
このような行為は、SNS運営会社によるアカウント凍結だけでなく、刑事告訴や民事訴訟の対象にもなり得ます。
投稿された側が取れる対応策とは
自分の写真や動画が無断で投稿されてしまった場合、以下のような対応が考えられます。
- 投稿者に削除を要請する(記録としてスクリーンショットを取得しておく)
- SNSの運営会社に通報し、ガイドライン違反として削除申請を行う
- 弁護士に相談して、発信者情報開示請求を行い投稿者を特定し、損害賠償請求や削除請求を行う
特に、撮影者が投稿者と異なる場合には、撮影時点の証拠(防犯カメラ、他の目撃者など)を確保することも有効です。
実際の事例から学ぶ注意点
たとえば、ある女性が電車内で寝ていた姿を撮影され、SNSに「変な寝方」として拡散されました。本人は精神的苦痛を受け、結果として投稿者は慰謝料10万円の支払い命令を受けたという判例があります。
また、公共の場であっても、明確に個人が識別できる映像が無断で拡散されること自体が、社会的信用や名誉を傷つける行為と見なされます。
日常で心がけたいSNS投稿のマナー
法的なトラブルを避けるために、次のようなマナーを意識することが重要です。
- 人物が写っている場合は、なるべく顔を隠す・ぼかす・モザイクを入れる
- 撮影する前に「写っても大丈夫ですか?」と声をかける
- 他人を嘲笑する意図のある投稿は控える
自分では「面白い」と思って投稿した内容が、他人にとっては「侮辱」や「名誉毀損」に感じられることもあります。投稿前に一呼吸おいて、相手の立場に立った配慮が大切です。
まとめ:撮影と投稿には慎重な配慮が必要
街中での無断撮影とSNS投稿は、軽い気持ちで行ったとしても、法的に大きな問題になる可能性があります。特に肖像権や名誉毀損といった観点から、撮影・投稿の前に「この内容は問題ないか?」を見極める習慣が求められます。
万が一被害に遭った場合は、記録を残し、弁護士や警察への相談を通じて冷静に対処しましょう。